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ある進学校の「昼寝実験」の結果は……

 睡眠不足になると、どうしても日中に眠たくなります。そのため、つい長時間昼寝をしてしまい、夜眠れなくなる悪循環に陥りがちです。人間はお昼の2~4時頃に眠気が強くなる体内リズムを持っていますから、昼寝をすること自体は悪いことではありません。

 ですが、30分以上眠ってしまうと深い睡眠が出て、夜眠りにくくなります。ですから、昼寝をするとしても高校生や大学生では10~15分、働き盛りの人は15~30分にとどめてください。深く眠らないで目を閉じるだけでも、画像として入る情報量が減り、脳を休めることができるそうです。

 取材させていただいた久留米大学神経精神医学講座の内村直尚教授によると、進学校として知られる福岡県立明善高校(久留米市)では内村教授の指導のもと、昼休みの後半15分間を「午睡(ごすい)タイム」としたそうです。あまり深く眠ってしまわないよう、椅子に座って机に伏せて寝る姿勢をとり、BGMにモーツァルトの曲を流しています。

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 生徒たちを対象にしたアンケートの結果によると、昼寝ができた人ほど夜の睡眠が規則正しくなり、昼間の眠気が軽くなって、授業に集中できるようになったそうです。全国の学校や企業でも、採り入れてみてはいかがでしょうか。

高齢者ほど夜更かしをしたほうがいい

 一方、時間のある高齢者ではつい昼間ウトウトする時間が長くなり、夜眠れなくなる人が多いのではないでしょうか。「キョウヨウ(今日用)とキョウイク(今日行く)」と言いますが、できれば日中は用事と行く場所を作って、活動的に過ごしたほうが眠りやすくなります。昼寝をするとしても30分程度、長くても1時間までにとどめましょう。

 また、早寝早起きが美徳とされてきたせいか、高齢者では早々と布団に入って、夜中に起きてしまう人が少なくありません。しかし、睡眠時間は年をとるほど短くなり、65歳以上になると平均6時間ほどしか眠れなくなります。

 ですから、夜中に起きないためには、高齢者ほど夜更かしをしたほうがいいのです。テレビでは、夜中に若い人向けのバラエティ番組を流す傾向が強いように思います。ですが、むしろお年寄りが夜長を楽しく過ごせるように、高齢者向けの番組を編成したほうが世のためになるかもしれません。

「8時間睡眠」神話のウソ

「寝ているところを見たことがない」ショートスリーパーの明石家さんまさん

 かつては「8時間睡眠」が最も長生きで、理想的と言われました。しかし、人間にはロングスリーパーもいれば、「寝ているところを見たことがない」と言われる明石家さんまさんのように、ショートスリーパーもいます。専門家によると、朝起きて、疲れが取れて、昼間の活動に差支えなければ、その人の睡眠時間は十分足りているそうです。

 睡眠不足で健康や精神に不調が出てきたり、「夜いびきがひどくて、呼吸が止まっている」と家族に言われたりした人は、睡眠時無呼吸症候群などの可能性があり、医療の助けが必要です。そうした場合は睡眠障害の専門医の診察を受けてください。

 ですが、睡眠不足でも健康に過ごせているなら、あまり不安になり過ぎないようにしましょう。心配も不眠の種になるからです。うまく「快眠術」を活用して、心地よく「春眠」を楽しんでください。