募集定員6000人が即日完売
広大な貨物駅の一部を開放して行われるこのイベントは、東京タ開業40周年以来10年ぶりの開催。今回は公式ツイッターとHPのみでの開催告知にもかかわらず、6000人の募集定員が即日完売するほどの人気ぶりだ。
「これまでも、支社単位でのイベントは開催してきました。ただ、その主たる目的は、地域の方々にJR貨物という会社について知っていただくこと。もちろん今回もその趣旨はあり、近隣にお住いの方300名を無料でご招待していますが、圧倒的に多かったのは鉄道ファンや貨物列車ファンです」
そう語るのは、JR貨物経営統括本部業務創造推進部長(当時)の兒玉道昭氏(以下同)。
JR貨物にとって本来の顧客は「荷主」であり、荷主になり得る企業向けにイベントを開催するならわかるが、個人の鉄道ファン、中でも昨今何かと物議を醸すことの多い“撮り鉄”を含むマニアを喜ばせても意味はないように思うのだが……。
「直接の顧客にはならなくても、間接的にJR貨物をご利用いただく機会はあると思います。それに、もし将来物流を利用する状況になった時に、当社のことを選択肢の一つとして思い出してもらえるなら、それはそれでありがたいことなので」
「どうすればJR貨物に入社できますか?」
じつに長い目で見た戦略だが、記者はこの日の会場で、会場整理をするスタッフに「どうすればJR貨物に入社できますか?」と質問している若い男性を見かけた。質問に答える社員もうれしそうだ。旅客鉄道と違って、普段利用者と社員が接する機会の少ないJR貨物にとって、こうしたイベントは貴重な触れ合いの場となっているのだ。
「実際のところ、JR貨物という企業の存在をご存じない方も少なくない。貨物列車は旅客鉄道会社が片手間で走らせている、と思っている人が意外に多いんです。その意味で、当社にとってブランディング戦略はきわめて重要なテーマだと考えています」