5月5日の子どもの日、東京モノレールの浜松町駅は、尋常ならざる数の旅客でごった返していた。

 大型連休も後半に入っている。いまから旅行に出かけるのか、あるいは地方から東京に来ていた人たちが帰るのかは知らないが、いずれにしても大変な人出だ――と思ったが、様子を見ていると何か変だ。停車駅の少ない「快速」を見送り、「各停」に乗り込む人が多いのだ。

 まさかとは思ったが不安は的中し、記者が下車する流通センター駅に着くと、大半の乗客が降りていく。この日は駅近くで二つの大きなイベントが開催されており、その催し物会場に向かう多くの善男善女で、いつもは静かなこの駅が大混雑することになったのだ。

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「二つのイベント」の一つは東京流通センター展示場で開催されている同人誌の即売会。モノレールを降りた客のうち、若い女性たちはこちらに向かっていく。

 もう一つのイベントは、記者が向かう催しだ。

「東京貨物ターミナル」を賑わせていた理由は…

なぜか異様に混んでいた「東京貨物ターミナル」で何が?

 鉄道が開業した翌年の1873年(明治6年)に貨物列車の運行が開始されてから今年で150周年、そして東京貨物ターミナル駅と大井機関区開業50年を記念して開催される「東京貨物ターミナル駅・大井機関区 50 周年ふれあいフェスタ」。

 普段は立ち入ることのできない、日本最大の貨物専用駅「東京貨物ターミナル駅(東京タ)」に入れるだけでなく、電気機関車の運転席の見学や、いまでは希少になった「貨物列車の車掌車」の体験乗車など、貨物列車ファンにはたまらない企画が盛りだくさんなのだ。

 流通センター駅から「東京タ」に向かう道は、普段は大型トラックばかりが行き来する殺風景な道だ。申し訳程度に作られた歩道は、アスファルトを突き抜けて伸びる雑草が幅を利かせており、あたり一帯が「一般客向きではない」という事実を物語っている。

 しかしこの日は、高級カメラを肩から下げた紳士や、小さな子どもの手を引く若いお母さんなど、やはり普段このあたりで見かけないタイプの人たちが列になって歩いていく。