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ベイスターズの変化を確信できたことは交流戦優勝以上に尊い

 今年の交流戦を三浦監督が振り返る時「先発投手の安定、裏で支えてくれるスタッフ、分析したデータを生かしてチームとして好投手を攻略できたこと」を大切な要素として挙げています。今永投手のイーグルス戦完投勝利で幕開けした交流戦は、3勝したバウアー投手、2戦2勝の東投手と大貫晋一投手、期間中の勝ち星こそなかったものの歯を食いしばって流れをもたらした石田健大投手など、先発投手が競う様にチームの戦いを落ち着かせました。

 試合が安定すれば、打線が次々と剛腕投手、好投手を攻略。ライオンズ高橋光成投手、バファローズ山下舜平大投手、宮城大弥投手、ファイターズ加藤貴之投手、マリーンズ佐々木朗希投手からも勝利をもぎ取る。攻略方法は相手に応じて幅広く臨機応変。関根大気選手が切り開いたチャンスを佐野恵太キャプテン、牧秀悟選手、宮﨑敏郎選手と繋がるクリーンアップが高い確率で生かす。戸柱恭孝選手を始め勝負強い打者に繋がれば6月4日ライオンズ戦の様に4点ビハインドから8回一挙逆転もありました。

 中でも交流戦で優秀選手に輝いた牧選手は、6月18日のマリーンズ戦で佐々木朗希投手に対し真っ直ぐ、スライダー、フォークと3球種を捉えての3安打。この日は全国から募集した牧選手のそっくりさん17人が集結し応援した「牧集合!」の日で、改めて牧選手が持つスターの資質に驚いています。

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三浦監督を囲む牧選手のそっくりさんたち ©tvk

 今年の交流戦でチームの力を目の当たりにし、ベイスターズの変化を確信できたことは交流戦優勝以上に尊いのではと思っています。

「他の誰かがカバーする」ブルペン健在

 勝ち切れなかった試合ですが、もう一つ忘れてはならないのが6月19日のファイターズ戦。山﨑康晃投手キャプテンが一貫して口にする「誰かが思い通りにならなくても、他の誰かがカバーする」ブルペンが健在と思えたこと。

 前出の森原投手好投は三嶋一輝投手をカバーしました。8回に同点に追いつかれた伊勢大夢投手の後を受け、2イニングを完璧に封じたのは、不調でのファーム調整を経たエスコバー投手でした。斉藤隆チーフ投手コーチは「エスコバーは冷静で、マウンドに行った時も耳を傾けてくれた。今までは『分かっているから、大丈夫』とマウンドに来られること自体を嫌がっていたのに。難しいマウンドで自ら課題を乗り越えた、新しいエスコバーの可能性を見ました」と目を細めていました。

エスコバー投手の好投を称える斉藤隆コーチ ©tvk

 セ・リーグとの対戦再開を前に、三浦監督はオールスターまでの21試合で13勝以上の短期目標を設定。貯金をさらに5つ以上増やす目論見です。少し前でしたら願望に思えた一里塚も、今のベイスターズなら、きっと無事に通ってくれるはず。

 梅雨空でも横浜スタジアムに吹く風は、爽やかに感じます。

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