今月13日に最終回を迎えたドラマ『unknown』(テレビ朝日系)では、高畑充希演じるヒロインの母親に麻生久美子が扮した。ヒロインの一家は全員吸血鬼であり、ドラマ本編の放送中には、ヒロインの両親(父親役は吉田鋼太郎)の愛の軌跡を描いたスピンオフドラマも配信されている。
このドラマのなかでは“実年齢より若く見える美魔女”という設定だった麻生だが、きょう6月17日、45歳の誕生日を迎えた。
麻生といえば、25年ほど前、CMで男子小学生に憧れられる家庭教師を演じていたのを思い出す。ちょうど麻生が、映画『カンゾー先生』(1998年)に出演したのを機に、世に知られ出したころだ。
駆け出し時代の大抜擢
『カンゾー先生』の監督は、戦後の日本映画を代表する巨匠のひとり、今村昌平である。その舞台は戦時中の瀬戸内のひなびた町で、麻生はヒロインである漁師の娘・ソノ子を演じた。当時まだ俳優としては駆け出しだった彼女にとっては大抜擢であった。
麻生は子供のころから漠然とアイドル歌手になりたいと思っていたという。中学2年のとき、新聞に入っていたチラシを見たのをきっかけにエキストラの事務所に入り、CMを中心にエキストラの仕事を始めた。
そこでオーディションに合格するうち事務所の人から目をかけてもらうようになり、このとき出会ったマネージャーがのちに独立して芸能事務所を設立すると移籍した。この間、1995年には、俳優の哀川翔の初監督映画『BAD GUY BEACH』で本格的に俳優デビューを果たす。
『カンゾー先生』も、哀川が今村昌平の監督作品に出ていたことから、オーディションの話が来た。ただ、当の麻生はオーディションとは知らず、事務所の人から「今からおじいちゃんに会うんだけど、来てくれる? お話するだけだから」と呼ばれて、今村監督に会いにいったという(『週刊朝日』2016年2月5日号)。