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「あれやった人、誰だっけ?」聞かれると試されているようで不安… 上司の質問の“本当の意味”とは

中野信子の人生相談#2

2023/09/27
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無料の脳トレと思って、ぜひ頑張ってトライして!

 やったことや、その人の経験したこと、というのは「エピソード記憶(出来事記憶)」といって、名前の記憶よりもずっと覚えておきやすく、思い出しやすいのです。

 歴史のテストが得意だった人は、年表を丸暗記するよりも、感情(できればネガティブなほうが忘れにくい)を伴った出来事として、自分もその場にいたかのように覚えておくと、記憶が堅牢になることを経験的に知っているのではないかと思いますが、あなたの上司もこの方法を自然に使っていらしたのではないでしょうか。

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 ただ、この方法は確かに忘れにくくはなるのですが、ネガティブな感情が生起すると嫌な記憶も同時に思い出してしまったり、名前など、やや感情から遠い情報を忘れがちになったり、解像度が悪くなって漢字を間違えてしまったりということが無きにしも非ずです。

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 これを避けるために、受験生ならば、繰り返し「声に出して耳で覚える」「手で書いて動きで覚える」などが対策法として考えられるのですが、日々の仕事に追われる大人には、この方法はちょっと現実的ではないかもしれません。

 とはいえ、記憶そのものは確かでいらっしゃるのですから、あまり心配することはないようにも思います。あなたは35歳とのことですが、上司が毎日テストしてくださるなんて素敵じゃありませんか。無料の脳トレと思って、ぜひ頑張ってトライしてください!

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読者の皆様のお悩みを、woman@bunshun.co.jpか(件名を「中野信子人生相談」にしてください)、〒102-8008 千代田区紀尾井町3-23「週刊文春WOMAN」編集部「中野信子の人生相談」係までお寄せください。匿名でもかまいませんが、「年齢・性別・職業・配偶者の有無」をお書き添えください。

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