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豪遊しなかった2つの理由

 1つ目は税金だ。ネット上で声高に「セックスワーカーは税金をおさめていないのに!」と騒ぐ人もいるが、当然確定申告をしているので、ごく当たり前だが稼げば稼ぐほど税金として国に納めなければいけない。税金は次年度の支払いとなるので、ある程度のまとまった額を用意する必要があり、業界の人からは「辞めた次の年が大変だから貯金はするんだよ!」と口酸っぱく言われていた。

 

 余談ではあるが、確定申告は女優業として提出しており、この確定申告を使用して現在住んでいる家も借りている。もちろん管理会社や保証会社によっては「自営業」ということで審査が通りにくい場合もあるが、支払い能力があり、信用情報に傷がついていなければ特に問題はない。

 間違った情報で悪いイメージが先行しやすいが、ごく普通に生きていく上で「AV女優であること。またはAV女優であったこと」で何か問題が生じたことは特にない。

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数百万という大金が貰えるというのは過去の話

 豪遊しなかった2つ目の理由は固定給ではないということ。AV女優の仕事は歩合制なので、毎月の収入は撮影数によって大きく変動してしまう。自らの人気が落ちればそれだけ収入は下がるし、1本あたりの単価は10~25万程度であるから、毎月それなりに数をこなさなければ豪遊はできない。

 撮影の本数が毎月安定して10本を超えるような女優は業界の中でも少ない。1本出演すれば数百万という大金が貰えるというのは過去の話で、制作会社も海賊サイトの横行で収益が伸び悩んでいるため、何か輝かしい肩書がある大型の新人でない限りは、そこまでの大盤振る舞いをすることはない。

 昨年の春に、私は女優を引退し、一般企業の会社員と文筆家業の二足の草鞋で1年間やってきたが、特段「お金がなくて困る」や「女優時代はこうだったのに」といった事態は起きていない。以前よりもお金の管理や資産運用を積極的に行っているが、それは「AV女優を辞めたから」だけが理由ではない。