早稲田大学在学中にAV女優としてデビューし、数々の作品に出演してきた神野藍さん(元渡辺まお・23)。昨年の春に引退し、現在は会社員として働きながら、文筆家としての活動もしている。引退してから1年経った今、思うことは何なのかーー。(前後編の前編/続きを読む)

◆◆◆

金銭感覚がおかしくならない?と聞かれるが…

 引退後、意外にも周囲からよく聞かれるのは、金銭に関すること。例えば「若いうちに普通じゃ貰えない金額を手にして、金銭感覚がおかしくならないの?」「社会人1年目の金額で足りる?」といった内容。そういう時は決まって「金銭感覚は今と昔で違う。けれどおかしくなってはいないし、今困っていることはない」と答えている。

ADVERTISEMENT

 女優時代、それなりに良い外車を買えるぐらいの年収があったし、同じくらいの年代の人と比べたらかなり大きな金額を手にしていた。年に数回、数十万単位での大きな買い物をすることもあった。日々の支出を事細かに把握したり、記録したりするほど金銭面に関して気にしてはいなかった。

神野藍さん

 私の場合、生きていくために必要な額を除いて、支出の割合として大きかったのは「メンテナンス代」だった。自分が商品である以上、自己管理として美容院やネイルサロンなどには2~3週間ごとに通い、体形維持のためにパーソナルジムも契約していた。

 ただしそれは私の場合で、同じAV女優でも被服費や旅行代、推し活代など使い途は様々で、何に一番お金を使うかはそれぞれの価値観によって変化する。余計なお世話だが、「そのお金があったら〇〇に使えばいいのに」と助言をしてくる人もいた。

 ところでよく人から「AV女優はお金たくさんもらえて、自分の欲望のまま贅沢できて羨ましい」と言われることがあったが、実際はそこまで豪遊することはなかった。その理由は2つ。