百合子 当時は学生運動が盛んで授業がよく無くなったから、その隙に次女を授かって(笑)。3人目はアメリカで生まれました。帰国後は非常勤の医師に。女性が外で仕事をすることが珍しかった時代だったけどね。
幸男 私の母も家庭裁判所の調停委員や学校の先生をしていたから共働きには全く抵抗がなかったかな。
妻に代わって健康長寿食を料理
幸男 今は夫婦で京都に住みながら仕事をしていますが、あなたが10年ほど前に発達症児専門のクリニックを開業してからは、私より忙しい日が多くなってきたね。
百合子 そうね。私のほうが帰宅が遅いこともあるから、代わりに料理を作ってくれることもあるわね。
幸男 世界の長寿食を見てきた結果、蒸し料理がいいと分かってますから実践中です。電子レンジでチンするだけでできます(笑)。
百合子 蒸し料理や適塩がいいとか言うてても、自分で調理してみないと本当のことは分からへんよ、って私がそそのかして(笑)。
幸男 ハワイの長寿の日系人が、ラウラウなどの蒸し料理で塩分を使わずにおいしく肉などを食べていたのからヒントを得ましてね。蒸すと食材の味が凝縮されて、塩が少なくてもおいしくなる。
先日は、ウイグル族の炊き込みごはん「ポロ」にヒントを得て、大豆を原料にしたお米状の大豆ライスに、野菜と冷凍の魚介類を加え、塩は使わずに電子レンジで炊き込みごはんを作った。研究の成果を自宅でも活かしています。
食塩を使わず、じゃこやかつお節で調味
百合子 主人は電子レンジ専門ですが、私は蓋つき鍋を使うことが多いです。加熱したらできあがり。毎日の弁当用の料理では、食材から出た水分は取っておき、カレーに使ったりしています。魚介の旨味や野菜のエキスが入っていますから。
幸男 そうそう。野菜のカリウムが入った出汁です。塩の害を打ち消す成分を捨てるのはもったいない。
百合子 私は食塩をほとんど使わず調理します。食卓に醤油も置いていないし。エビやホタテなど冷凍の魚介類や、じゃこやかつお節を常備しておいて、それを野菜と一緒に調理する。すると、魚介から出る塩分で、塩がなくてもほどよい加減で調味できるんです。強い味つけに慣れてしまっていたら、その薄味は分からないかもしれません。でも試すと、あっという間に慣れますよ。
幸男 魚介類は長寿栄養素のタウリンも多いから、一石二鳥やしね。
百合子 じゃこは小さいけど、骨も内臓も全部食べられるし、いつも冷凍庫に入れて塩代わりに使ってますね。魚介以外によく使うのは、鶏のささみ。そのまま焼いて、裂いて和えたり、最後に香味野菜をのせてごまを振ったり。