文春オンライン

2年で10回リピートするほどの人気…ボロボロだった築90年の小学校が「観光客が殺到するホテル」に生まれ変わるまで

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 社会,

note

「記憶を刻み、未来へつなぐ。」

「この学校の卒業生のおじいちゃん、おばあちゃんがいらして、“私、ここの階段で”とか“私が小学校の時は”とか、僕に思い出を話してくれるんです。それで、私たちの学校をこんな風に残してくれてと感謝される。観光客のためだけではなくて、地元の人たちと共存共有し、誇りに思ってもらえる施設をつくるという、僕らの一番の目標が達成できたような気がします」

実際、観光客のほかに、地元の利用者は多いと広瀬さんはいう。

「2階のレストランは、地元の方のクラス会で貸し切りが多いです。たいてい館内をひと通り見学していただいてから食事会という流れですね。来ていただいた方たちに昔話を聞いて、それを新しい人たちに伝えていく。歴史の伝承じゃないですけど、それがすごく楽しいです」

ADVERTISEMENT

NTT都市開発が京都市に提案した開発コンセプトは、「記憶を刻み、未来へつなぐ。」だった。その想いは、このヘリテージホテルの空間で、確かに息づいている。

(2022年8月取材。記事の肩書は取材時のものです)

能勢剛『「しあわせな空間」をつくろう。 乃村工藝社の一所懸命な人たち』(日経BPコンサルティング)
スタジオジブリの作品世界を精緻につくり込むことで幅広いファンを惹き付けてやまないジブリパーク、海外からの観光客も熱狂する動く実物大ガンダムのヒミツ、リモートワークではなく社員が会社に行きたくなるようなリアルのオフィス空間など。本書では人々の「しあわせ」を呼び起こす13の空間にせまった。

能勢 剛(のせ・たけし)
日経トレンディ元編集長
日本経済新聞社のシンクタンク、日本消費経済研究所(当時)のマーケティング理論誌『消費と流通』編集部を経て、日経BPで『日経トレンディ』編集長、『日経おとなのOFF』編集長などを務める。その後、日経BPコンサルティング取締役編集担当として数多くの企業メディアを制作。独立後はメディア制作のコンセプトブルーを主宰。媒体のコンセプト提案、企画づくり、取材・執筆などで活動。
2年で10回リピートするほどの人気…ボロボロだった築90年の小学校が「観光客が殺到するホテル」に生まれ変わるまで

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー