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2年で10回リピートするほどの人気…ボロボロだった築90年の小学校が「観光客が殺到するホテル」に生まれ変わるまで

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 社会,

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夕暮れともなれば、夜空に浮かび上がる八坂の塔と市街地の夜景とが競演。きらびやかだけど風情ある古都の顔が現れる。ひっそりとした上質なバーがたくさんある京都にあって、ここほど京都ならではの解放感にあふれた心地いい空間はちょっと見当たらない。

このルーフトップバー「K36 The Bar & Rooftop」があるのは、「ザ・ホテル青龍 京都清水」の屋上。清水寺へと続く清水坂の途中にあるホテルだ。そしてこのホテルは、元京都市立清水小学校の校舎を改装したホテルとして、京都市民にはよく知られた存在だという。

京都市は、統廃合によって空いた学校跡地の再開発を進めてきた。2015年から事業者の募集が始まり、その第1号として公募されたのが清水小学校の跡地だった。

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清水小学校は1869年(明治2年)に開校し、1933年(昭和8年)に現在の場所に移転。その際に伝統的な和風の木造校舎ではなく、スパニッシュ瓦にアーチ窓のモダンな鉄筋コンクリート校舎となり、90年近くもの間、地域のシンボルとして親しまれてきた。周辺住民には卒業生も多い。

90年近くも経った校舎をホテルに大改装

公募には10社が手を挙げ、住民代表の委員も入った審査の結果、NTT都市開発の提案が採用となった。NTT都市開発・京都支店の河野勝己さんは、公募に参加したのは、ロケーションと建物の魅力が大きかったからだという。

「清水寺が近いですし、京都市内が一望できる抜群のロケーションだということ。それから、校舎が昭和初期のもので、歴史ある建築だということ。京都市さんがつくられた建築ですけど、デザイン性がすごく優れている。これを活用してホテルにすればすごくいいだろなという判断で、そのまま校舎を使ったホテルを提案しました」

とはいえ、90年近くも経った校舎を、建物はそのままに改装することは容易ではない。建物がかなり傷んでいたことに加え、そもそも校舎のつくりなので、ホテルとしての運営に不可欠な導線や、空調・配管のスペースなどが皆無だったからだ。