1ページ目から読む
2/3ページ目
08年にも類似の舌禍「こんなチームに負けて……」
遡れば、08年にも実は、両軍の間に類似した舌禍があった。
7月にはマジックナンバーが点灯するほど独走状態だった首位阪神は下位に低迷する横浜(現DeNA)と、8月15日から京セラドーム大阪での3連戦に臨んだ。初戦を4―11で大敗すると、翌日のスポーツ紙に掲載された岡田監督の発言は横浜を大いに刺激した。現役時代は中日などで捕手として活躍し、当時は横浜でバッテリーコーチだった中村武志氏が回想する。
「確か岡田さんの『こんなチームに負けて……』などとの言葉が載っていた。あれで当時の大矢(明彦)監督に火が付いた。普段は温厚で、あまり感情を表に出さない監督だったが、(2戦目前の)ミーティングでは、『こんな言われ方をして悔しくないのか!』と顔を赤くし、声を震わせながら選手を鼓舞していた」
岡田監督の失言さえなければ……
横浜は2、3戦目に完勝すると、9月の本拠地でも2戦2勝。京セラでの3連戦前までは3勝10敗とお得意様扱いされていた阪神に7勝3敗1分けと盛り返し、巨人の逆転優勝をアシストした。
その年の10月10日、阪神は皮肉にも横浜戦に敗れ、V逸が確定。同日夜、岡田監督は横浜市内のホテルでコーチ陣に対し、シーズンいっぱいでの辞任を伝えるに至った。北京五輪出場のために新井貴浩、矢野燿大、藤川球児の主力がシーズン佳境に抜けたことがV逸の直接的な要因とされる。しかし、終わってみれば巨人とは2ゲームの僅差だっただけに、中村氏が「あの夏場から横浜の選手は阪神戦で奮起するようになった」と述懐したように、岡田監督の失言さえなければ……との思いは消えない。