毎日放送(MBS)アナウンサーの西靖さん(51)は、2021年に妻が3人目の子どもを妊娠したとわかったとき「お腹の子が生まれたら、ちょっと仕事を休んだほうがいいかもしれないな」と思ったそうです。
しかし、実際に男性が育休をとるとなると「給料減るの?」「役に立つの?」「周りはどう思う?」「帰ってきたときに会社に居場所ある?」など、戸惑うことばかりだったとか。
ここでは、西さんがそんな育休取得体験を綴った『おそるおそる育休』(ミシマ社)から抜粋して、妻の出産直後、“ママ不在”で切り盛りした期間のエピソードを紹介します。(全2回の1回目/後編を読む)
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ママのいない夜
6月8日、妻が予定日より1週間早く三男を出産しました。思えば長男たすくのときも5日早かったし、次男さとるのときも1週間早かったのです。予定日についてはちょっと懐疑的なわが家です。
少し前に「新生児との時間をじっくり過ごしたくて育休を取った」と書きましたが、最初からそのつもりだったかというと、正直言ってそんなわけでもないのです。
長男から三男まで全員がお世話になっている産院では、自然分娩で第2子以降では出産日を含めて5日の入院が標準と決められています。育休を取ろうと思ったきっかけは「あれ? その5日間、誰が子どもたちの面倒をみるんだ?」という疑問からでした。
次男は5月から幼稚園の満3歳児クラスに通い始めたばかりで、ようやく通園のリズムが定着しかけたところだし、ちょっと内弁慶な長男も幼稚園の友だちの話をうれしそうに話してくれるようになってきていて、このタイミングでは、2人ともできるだけ幼稚園を休ませたくないというのは夫婦の一致した気持ちでした。幼稚園を休ませ、実家に2人を預けるという方法はできればとりたくない。加えてこのやっかいなコロナ禍。簡単に実家のじぃじやばぁばに来てもらうわけにもいきません。そうか、なるほど。
ということで、私が最初に考えたのは「その5日間をどうにかしなくては」ということで、じゃあ、俺が1週間ほど仕事休むか、となったのです。そうなんです。「育休を取ろう。育児をしよう」という感じではなく、まさに「とりあえず」のレベルで。