27日、家族3人の一家心中を図ったものの、ひとり死にきれなかった稀代の歌舞伎役者・市川猿之助(47)がついに逮捕された。容疑は亡くなった両親のうち母親に対する自殺ほう助の疑い。

 歌舞伎界を揺るがした史上最大の事件は果たして全容解明に至るのか。

 猿之助を育て上げ、また自身も名優として梨園に大きな足跡を残した、市川段四郎さんを悼んだ当時の記事を再公開する。(初出:2023年5月20日。年齢、肩書は当時のまま)

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 歌舞伎界きっての大スターをめぐる事件は、その全容が分からぬまま3日を迎えた。

 東京・目黒区内の自宅で歌舞伎役者の市川猿之助さん(47)が18日、両親と共に倒れているのが見つかり、その後、父親の市川段四郎(本名・喜熨斗弘之)さん(76)と母親の延子さん(75)の死亡が確認された。

猿之助さん宅 ©️共同通信社

 猿之助さんは一命をとりとめたものの、自宅にある半地下スペースのクローゼットのドアで首を吊っていたところを発見された。猿之助さん自筆の“遺書”なども見つかっており、一家3人が自宅で倒れていたという謎は深まるばかり。

市川猿翁一座の「副将」として活躍した

 謎が謎を呼ぶなか、段四郎さんの生前に親交のあった歌舞伎関係者らは、その死を悼んでいる。段四郎さんは、兄の市川猿翁さんが率いた一座では、「副将格」で活躍してきた歌舞伎役者。現代風の歌舞伎「スーパー歌舞伎」から数々の古典の復活物まで幅広く歌舞伎界に貢献してきた人物だ。

亡くなった段四郎さん ©️共同通信社

 早稲田大学演劇博物館館長の児玉竜一さんは、役者としての段四郎さんを次のように振り返る。