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すべて数値で評価される現代社会

 数値至上主義は偏差値に限った話ではない。社会に出たらあらゆる活動が数値で測られる。例えば大学教員である私は、毎年何本論文や著作を出版したのか、いくら助成金 を獲得したのかを大学に報告する。業績の報告のあと、年度末に次年度の目標を立てて提出している。つまり目標と成果が数値で計測され評価されるのだ。民間企業に勤めている人たちは、もちろん私どころではない。

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 さらに、個人の問題だけではなく、学部としても次年度の数値目標を立て、年度末に成状況を大学本部に報告する。大学全体でも同じデータ集めは行われており、各学部に作成させた6カ年ごとの中期計画のデータを集計して文部科学省へと報告して国からの評価を受けている。

 つまり個人から組織、国家にいたるまで、子どもから大人にいたるまですべて数値で評価されている。数値に基づいて行動が計画・評価され、価値が決められるのだ。