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「理事長一家にかかる家族の経費と学校経営の会計はほぼ一体です。具体的には校用車名目で購入した車をプライベートで乗り回していたり。そのくせ本当に業務で使用する校用車を汚したり、傷つけたりしようものなら、職員の自己負担ですからね。おかしなことだらけですが、理不尽だと反発したら最後、理事長から目をつけられお叱りを受ける日々が始まります」

理事長一族のパワハラで辞職を考える職員たち

 事故を起こしてしまったAも理事長のターゲットになっていた。“お叱り”を受ける日々に疲れ果てたAは、事故に先立つ5月15日には辞職の意向を校長に伝えていた。20日には、15分の遅刻を理事長から強く咎められ、退職届を書くよう強いられている状況だったという。

 Aの置かれた職場環境と事故の因果関係はわからない。だが、Aに限らず「ハリビ」に勤める職員らにとって、理事長一族の高圧的な態度に耐えかねて、辞職を考えるケースは珍しいことではなかった。B氏が続ける。

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「3年前、残業代や目標達成時に支給されるはずのボーナスが支払われていないことについて、『約束を果たしてほしい』と経営側に訴えた職員がいました。その2週間後、理事長は彼に『解雇ばい』と急に通告します」

現理事長と初代理事長像(読者提供)

突然の解雇通告と転職活動の強制

 労使交渉に応じないどころか、一方的に解雇通告というのも驚きだが、ここから勇気ある職員にとっては針のむしろの日々が始まった。

「学校の業務を一切させず、就労時間を使って転職活動をするよう強制されていました。しかもハリビを辞めた後はどこに行くのかをしつこく聞かれ、転職先の候補をリストにして理事長に報告するよう強いられたそうです」(同前)

 あたりまえのことながら、現在の勤務先に次の職場がどこなのか報告する義務も義理もない。突然の解雇通告とおかしな転職活動の強制。異常さはこれで終わらない。

「彼はしぶしぶ理事長室まで転職先の報告に行ったのですが、手帳に記された転職先のリストを見た理事長から『メモの字が汚い』となじられてしまいます。それと同時に、左の後頭部あたりを殴打されたそうです」(同前)