「真実かどうか。それを確かめないのは犯罪、嘘つきだ」

 室内に響いたのは、“ハリビ”理事長の怒号だった――。

 先月、恒例行事のバーベキュー大会で、職員が燃え盛るコンロにアルコールを投入するというあり得ない行為が引き鉄になり、男子生徒1名の尊い命が失われた。男性職員の軽率さもさることながら、そもそもバーベキューの火の管理にアルコールを使うことは、事件の舞台になった「ハリウッドワールド美容専門学校」、通称「ハリビ」の理事長の発案であることがわかっている。

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 学校と理事長の安全管理に厳しい視線が向けられる中、同校には事故を招きかねない体質があったことが文春オンラインの取材で見えてきた。

学内で徹底されている“ある”しきたり

「おかしなところはたくさんありますよ」

 こう語るのは、ハリビに通うある学生だ。

「ハリビでは登校時や帰宅時、他にも様々なシーンで、現理事長のお父さんで学校の創設者である初代理事長像に挨拶をしないといけないんです。先生たちは生徒がちゃんと挨拶しているかをチェックしていて、もし挨拶を怠ると授業を受けさせてもらえません」

 技術を学ぶために入った学校で、特に思い入れもない創設者に頭を下げさせられてはかなわないが、このしきたりは学内で徹底されている。

行事前の初代理事長への挨拶(読者提供)

理事長一族の独裁体制

「朝礼でも先生たちは銅像に向かって『まことなりー』と挨拶をしています。儀式の意味はわかりませんが、もし声が小さかったりすると現理事長からきつく叱られるみたいです。実際、それで怒鳴られている職員を見かけたことがあります」(同前)

 理事長が職員を叱責するのはハリビの日常茶飯事だったという。事故を起こしてしまった男性職員Aもその標的だった。理事長からたびたび怒鳴りつけられ、疲れ切ったような様子のAは生徒から心配されるほどだったという。

「ハリビ」の内部事情を知るB氏は「学校経営は理事長一族の独裁ですから」とあきらめの表情で言う。