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グローバル製造業の時代は終わった 

 日本全体を眺めても、すべての雇用のうちの8割はじつはローカル産業なんです。グローバルな会社は雇用をつくらないし、今後ますますつくらないでしょう。トランプ大統領がアメリカに工場をつくると言ってますよね。自動車の工場を持ってくる、あるいは白物家電をつくります、と。けれども実際には、ほとんど雇用をつくれないでしょう。工場はいまやほとんど人間がいないし、今後ますます人間はいなくなります。製品はロボットが造ってくれますから。要するに、グローバル製造業が潤沢な雇用を生み出した時代は、とっくの昔に終わっているのです。

冨山和彦氏 ©平松市聖/文藝春秋

 先進国はどこも似たりよったりの状態です。たとえばドイツ。法人税が安く、為替やユーロの恩恵も受けている。労働市場も流動性がとても高い。けれども製造業は、雇用が萎縮しています。BMW、ボッシュ、フォルクスワーゲン、どこもすごく調子いいじゃん、と見えますが、実際にはドイツ国内ではあんまり雇用を生んでいないのです。

 ですから需要が世界にあるという問題と、雇用がどこで生まれるかという問題は、グローバル化の時代においては一致しません。企業としてどこに成長を求めるかという議論は、グローバル企業にとっては、日本の外、となります。ですから日本という単位で雇用を議論するときには、今の産業構造を前提にして議論しないとダメなわけです。そうすると今後ますますローカルな雇用は、ローカルなサービス型産業になっていきます。となると、やはりこのローカルなタイプの産業の世界で生産性を上げ、賃金を上げ雇用を安定化させる。そこでみな人々がそれぞれに充実した人生を送れるようなビジネスモデルをつくっていくというのは、とっても21世紀的で真にイノベーティブでクリエイティブだと思っています。ぜひぜひそういうモデルをつくっていただけると素晴らしいですね。

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