2001年、大阪府池田市にある大阪教育大学附属池田小学校に侵入し8人の児童を殺害した宅間守。判決からわずか1年あまりで死刑を執行された宅間が、法廷で見せた 不遜な態度とは……。
2007年の新書にもかかわらず、書店での再ブレイクをきっかけに累計発行部数42万部を突破――フリーライターの長嶺超輝さんが法廷での個性あふれる肉声を集めた語録集『裁判官の爆笑お言葉集』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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川合昌幸裁判長「科すべき刑は、死刑以外にありえない。」
白昼、大阪教育大付属・池田小学校に侵入し、刃物で8人の児童を殺害、教諭2人を含む15人を負傷させた被告人・宅間守に対する判決公判で。
(大阪地裁 川合昌幸裁判長、当時50歳、2003年8月28日[理由])
ゆがんだコンプレックスを増幅させ、どうにもならなくなった自分を徹底的に嫌う。一方で「こんな自分をつくったのは社会のせい」などと、自己正当化もしてみる。そのくせ「死刑にしてほしい」と身勝手に願う。
川合裁判長が主文を言い渡そうとすると、それをさえぎるようにして、宅間は「最後に言わせてえな。どうせ死刑になんねんから」などと不規則発言を繰り返しました。
結局、裁判長は宅間に退廷を命じます。「口をふさいででも、宅間の目の前で死刑を宣告してほしかった」とは、ある遺族の言葉です。
刑事訴訟法は、判決の確定から6ヵ月以内に、法務大臣が死刑執行命令を下すよう義務づけていますが、この規定はまず守られません。確定から執行まで平均7年5ヵ月(平成8~17年)かかっている中、本件では1年足らずという異例の早さで刑が執行されました。
死刑以外の刑はありえない。その結果、死を望む人間に対し、国家がその望みをかなえてやる形になりました。ひょっとしたら、彼のようなタイプにとって、終身刑こそが自分の罪に正面から向き合わされ、最も強い恐怖をおぼえる「極刑」だったとは考えられないでしょうか。(続きを読む)