2021年、交際相手の3歳の息子に熱湯を浴びせ殺害した罪に問われている松原拓海被告(25)に、検察は懲役18年を求刑した。
検察いわく「危険きわまりない」「類をみない悪質な犯行」――恋人の子供に対する常軌を逸した“虐待”に対する判決の行方が注目される。
なぜ松原被告の殺意は「連れ子」へと向かってしまったのか。事件の深層を追った当時の記事を再公開する。(初出:2021年9月24日。年齢、肩書は当時のまま)
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大阪府摂津市のマンション一室の浴室で、熱湯を浴びせられ、新村桜利斗(おりと)ちゃん(3)が殺害された事件。大阪府警は9月24日、桜利斗ちゃん殺害容疑で逮捕していた母親(23)の交際相手、松原拓海容疑者(23)を大阪地検に送検した。
全国紙社会部記者が語る。
「松原容疑者は『シャワーの温度を38度から60度まで徐々に上げて遊んでいた』と供述しているようです。温度は台所の給水器のパネルで、37度から75度まで調整することができた。10分近くもの間、熱湯を浴びても避けようとした形跡がないことから、松原容疑者が桜利斗ちゃんの体を固定していた可能性があると警察はみています。極めて残忍な犯行で、警察は松原容疑者に明確な殺意があったとみて、捜査を続けています」
事件が発生した摂津市のマンション近辺では、松原容疑者による日常的な“虐待”を窺わせる悲惨な証言が得られた(#1)。文春オンライン特集班は、松原容疑者の実家がある大阪府羽曳野市でも取材を行った。すると実家近くに住む近隣住民からは、こんな声が聞こえてきた。
「松原容疑者は両親のほか、歳の離れた中学生の弟、小学生の妹2人と羽曳野市のアパートに6人で暮らしていました。地元の公立の小学校、中学校を卒業したはずです。どちらかといえば物静かではありましたが、怒ったりする姿は見たことがありませんね。