2021年、交際相手の3歳の息子に熱湯を浴びせ殺害した罪に問われている松原拓海被告(25)に、検察は懲役18年を求刑した。

 検察いわく「危険きわまりない」「類をみない悪質な犯行」――恋人の子供に対する常軌を逸した“虐待”に対する判決の行方が注目される。

 なぜ松原被告の殺意は「連れ子」へと向かってしまったのか。事件の深層を追った当時の記事を再公開する。(初出:2021年10月28日。年齢、肩書は当時のまま)

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 大阪府摂津市のマンションで、新村桜利斗(おりと)ちゃん(3)が長時間熱湯を浴びせられ、交際相手の松原拓海容疑者(24)が殺人罪で起訴された事件。大阪府警捜査1課は27日、新たに母親の行歩寿希容疑者(23)を暴行容疑で逮捕した。

桜利斗ちゃん一家が住んでいたアパート ©文藝春秋

 検察が松原容疑者から押収した携帯電話を調べたところ、行歩容疑者も一緒になって虐待する動画が発見され、悪質性が高いとして立件に踏み切った。虐待は母親がやったとは思えないほど、残酷な内容だったという。

「動画は1本だけではありません。行歩容疑者と松原容疑者が交際を始めた昨年10月以降に撮影された虐待動画が何本もあったようです。

逮捕された行歩寿希容疑者 FNNプライムオンラインより

 逮捕事実にある今年6月20日の虐待の動画では、行歩容疑者が『こっちおいで』と呼んで注意を引き、歩いて寄ってきた時に、松原容疑者が円筒状のクッションで桜利斗ちゃんを殴る様子が映っていました。

 野球のバットをフルスイングするぐらいの勢いで殴り、桜利斗ちゃんの小さな身体が吹っ飛んで泣いている姿を見て、2人で笑っていたようです。

 松原容疑者は『散髪の時に異常なくらい泣いたので、かっとなって叩いた』と供述しています。極めて悪質な犯行で、大阪府警は2人が共謀してけがを負わせたとみて捜査を進めています」(全国紙社会部記者)

送検される松原容疑者 ©文藝春秋 撮影・上田康太郎

 桜利斗ちゃんは8月31日、自宅浴室で約10分間熱湯を浴びせられ、熱傷性ショックで死亡した。救急隊が駆け付けた際には、皮膚がただれた状態でリビングに全裸で横たわっており、既に心肺停止状態だったという。松原容疑者は「シャワーの温度を38度から60度まで徐々に上げて遊んでいた」と供述しており、行歩容疑者は当時外出していたようだ。