これらは異なる学部を比較しており、信頼に値しないという意見もあるかもしれない。だが、まさにそこにこそ「高学歴=有名大学=高偏差値」信仰の落とし穴があるといえるだろう。
たしかに偏差値で序列をつけてみれば、関東の文系大学であれば早慶上智やGMARCH、関西であれば関関同立と称される大学群、理系であればこれらに加えて東京理科大学といった大学の各学部が上位に並んでいるケースが多いが、中にはこれまで下位に位置付けられていた大学・学部が間に入り込んでいる場合も珍しくはない。
「高偏差値だと思われる大学名」だけで大学の序列を語る“落とし穴”
そもそも、偏差値というのは換算のもとになった模試や算定基準によっても揺れがあるものであり、さらには同じ大学でも学部や学科、試験方式によって異なるものである。
たとえば、先述の河合塾公開のデータを用いれば、文・人文学系の入試難度は上から早稲田大学国際教養学部が偏差値70.0、国際基督教大学(A方式)、早稲田大学文学部(一般・英語4技能入試)・文化構想学部(一般・英語4技能入試)がいずれも67.5と並べられている。
また、河合塾のものと同様に合格可能性50%のラインのデータを公開している東進のもの(2023年度版)では、早稲田大学文化構想学部(共通テスト併用型)が偏差値71、早稲田大学文学部(共通テスト併用型)が偏差値70、国際基督教大学(A方式)が偏差値69と並んでいる。
それに対してベネッセの発表している偏差値一覧では慶應義塾大学(文学部・法学部・総合政策学部・経済学部)、国際基督教大学、上智大学(国際教養学部)、早稲田大学(法学部・政治経済学部)がいずれも偏差値83、続いて早稲田大学(商学部)が偏差値82と、上位大学・学部の序列どころか数字自体も大きく異なっているのである。
こうした事情を無視してその大学を一括りに考え、「高偏差値だと思われる大学名」だけで大学の序列を語ることにさほどの意味はないのではないだろうか。