車高が低いほどステータス、不便を乗り越えてこそ車好き……そんなクレイジーな世界に生きる者たちがいる。地を這う異形のカスタムカーから、見える景色は一体どんなものなのか?

 今回は、1995年式のキャラバンをバニング仕様にカスタムする山本さんをご紹介。

キャラバンに乗って実に地球7周分にもなる28万kmを走行した山本さん

好きな要素を詰め込みすぎて……

 このキャラバンにはもう、18歳からずっと乗っているんですよ。俺が今37歳だから、20年くらいになるか。走行距離も28万kmなんで、だいぶガタがきてるんですけどね。

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 買ったときは普通の車で、色も純正の黒だったんですよ。それが、なんでこうなったのかな……はっきりした理由は自分でもわからないです。自分の好きなものを詰め込んでいるうちに、いつの間にかこうなっちゃった感じかな。

「好きなものを詰め込んだらこうなった」というコテコテの外観

 最初は19万円で買ったんですけど、若い頃は車にばっか注ぎ込んでいたんで、改造費はもう覚えてないです。20代の頃とか、友達に「飲みに行こう」と誘われても、「今月車に使っちゃったから行けねぇわ」って。そんなことばっかでしたね。

 お金がかかっているのは塗装とエアブラシですかね。そう、このマリーちゃんのやつ。直前まで何の絵にするか考えてなかったんですけど、職人さんに聞かれて、反射的に「じゃあマリーちゃんで」って。いつもそうやって、なんとなく直感で弄ってきた感じですよ。

エアブラシで制作したマリーちゃんのイラスト

 やっぱり車はガキの頃から好きでしたね。その辺を走っている車の名前は全部言えたり、カッコいいのを見つけるとチャリで追っかけまわしたり。まぁ、よくいるクソガキでしたよ。

 キャラバンが好きなのは、たぶん死んだ父ちゃんが乗ってた影響かな。昔から、父ちゃんの車で出かけるのが好きだったんで。高校のときくらいから、いろいろ他の車も考えましたけど、やっぱり最後は自然とこれを選んでいましたね。

意外なことに、構造変更によって寸法上は問題なく車検に通る

 でも、ずいぶん前からもう、仲間がどんどんバニングから降りちゃって。昔はキャンプ場に行って、前日に酒を飲んで、車の中で寝て、次の日にイベント、みたいな過ごし方も多かったんですけどね。今はもうさっぱりですよ。

 その代わり、仲間がみんなオフロード系の車に移っていったんで、「なんだよ寂しいな」と思いつつ、結局俺もジムニーを買って。そっちももう10年くらい遊んでるかな。

愛車にかけた費用はもはや覚えていないという

 まぁでも、このキャラバンはたくさん思い入れがある車なんで、できるだけ乗っていきたいと思いますよ。高速に乗っていると、空気抵抗もすごいし、ずっと壊れそうですけどね。

 ボロボロなんで「もういつでもぶっ壊れれば」とは思っていますけど、いざこれを手放したとしたら……たぶん、街でキャラバンを見かけたとき、俺はすげぇ嫉妬するんだろうなって思いますね。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。