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「夏休み明けになるとガリガリに痩せた子が登校してくる」自治体間で格差が広がる"給食費"の大問題

source : 提携メディア

genre : ライフ, 政治, 社会, 教育

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困窮世帯の親の半数「子どものために食事を減らす」

このような状況下で、困窮世帯を対象にしたNPO法人キッズドアのアンケートは衝撃の結果を伝えている。「子どもに食べさせるために親の食事を減らしたり抜いたりしている」との回答が49%にも上ったのだ。

実際に、保護者は1日1食しか食べない人が17%、1日2食の人が47%にも及ぶ。子どもについては1日3食が68%であり、いかに保護者が子どもに優先的に食事をさせているか、そして再開した学校給食がいかに困窮世帯の子どもにとって重要な意義があるかがわかるだろう(NPO法人キッズドア「2022年物価高騰の影響把握のための緊急アンケート」2022年11月28日)。

さらに本年6月の同団体の調査では「1人当たりの食費が月1万円以下(1食当たり110円以下)の世帯が4割」という結果も出ているという(同「2023夏 物価高騰に係る緊急アンケート レポート」2023年6月26日)。経済的に厳しい家庭の多くの子どもたちは〈食の危機〉に陥っている。

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就学援助「届くべきところに届いていない」

経済的に厳しい家庭の学校給食費の家計負担を補助する仕組みとして、就学援助などの制度がある。認定されれば学校給食費全額が補助される場合が多いため、非常にありがたい仕組みだ。

しかし、認定基準や認定手続きが自治体により異なるうえ、急な家計状況の変化に必ずしも対応しきれていない。また、学校や給食センター、給食会への振り込み手続きの仕組みがあればよいが、家庭にいったん振り込まれると、給食費として支払われずに、他の使途に流用されてしまうという問題が発生する。しかも、学校給食自体が実施されていない学校に通っていれば、就学援助制度に認定された家庭であっても、昼食分の補助はなく、弁当の食材料費はそのまま家計負担となっている。

つまり、届くべきところに届かないこと、また、家計の足しにはなっても、必ずしも子どもの〈食の権利〉保障につながらない可能性があること、これが限界としてある。

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