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「夏休み明けになるとガリガリに痩せた子が登校してくる」自治体間で格差が広がる"給食費"の大問題

source : 提携メディア

genre : ライフ, 政治, 社会, 教育

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現状、給食を実施している全国の公立小中学校全てで普遍的な給食費無償を行った場合の費用は年間4386億円と言われているが(東京新聞「防衛費倍増に必要な『5兆円』教育や医療に向ければ何ができる? 自民提言受け考えた」2022年6月3日)、子ども、保護者、給食関係者のすべてにとって良い影響があると考えれば税金の使い道として有力な選択肢の一つだろう。

こうした背景の下で、公立小中学校の完全無償化を2022年度に行った自治体は、日本農業新聞の調査によれば、28%と、およそ3割にも上った(「『給食無償化』自治体3割で実施 物価高受け生活支援 継続へ財源課題」2023年2月22日)。子どもの数が少ない小規模の自治体だけではなく、東京都の23区内でも、中央区、台東区、品川区、世田谷区、北区、荒川区、葛飾区では小中学校完全無償化、足立区では中学校のみ、練馬区で第2子以降のみ無償化を2023年度開始当初から行っている。ここに加え、6月より大田区、8月より新宿区で第2子以降、今秋9月より板橋区、江戸川区、文京区、港区、足立区(小学校も完全無償)、墨田区、豊島区、そして10月より江東区と、制度の詳細は多少異なりながらも、特別区主導の無償化は急拡大している。

ただし、留意すべきは、3割の自治体では給食費無償だが残りの7割は有償であること(日本農業新聞の2022年2月の調査時点)、そして、期間限定の取り組みであって必ずしも恒久的な取り組みではないものも中にはあるということ、また一方で、中学だけ無償、第2子または第3子以降だけ無償、2分の1補助などの、「一部無償」の自治体もあるということだ。住んでいる自治体により、保護者の家計負担軽減措置が異なり、また、憲法上、そして国際法上保障を受けるべき子どもたちの〈食の権利〉保障の状況に格差がある、ということである。

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国の責任で全国の給食費無償化を

経済財政運営と改革の基本方針2023」いわゆる「骨太の方針2023」ではついに、「学校給食無償化の課題整理等を行う」という言葉が登場した(19ページ)。課題整理・問題把握にとどめることなく、しっかりと国の責任において全国一斉の給食費無償を進めてもらうため、筆者は全国オンライン署名「#給食費無償」を全国へ!を実施している。この署名では、「普遍的現物給付」としての一斉の給食費無償を通じて、あらゆる子どもたちの〈食の権利〉を保障するとともに、給食に携わる人々の負担軽減を訴えており、どの人にとっても、給食が安心・安全で心安らげる時間となってほしいと考えている。

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