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中華料理屋なのに自慢の一品は「手打ちそば」と「鴨せいろ」

 さて、ここからは冒頭で触れた2つの料理を紹介します。福建料理屋「仙桃園」は平井住みの人々が唸る蕎麦を出す店で、駅南側の駅前マンションを抜けた先にひっそりとあります。福建料理は、ガチ中華の多数を占める東北料理、あるいは東北人がやりくりする四川料理と比べて全く辛くなく、魚介ベースでやさしいのが特徴です。ちなみに平井には、仙桃園も含め福建料理屋が3軒あります。

「仙桃園」の福建家庭料理

 仙桃園のメニューを見れば、福建の食堂で定番の魚の練りものが入ったスープや、福建味の焼きビーフン、海鮮煮込みそば、牡蠣チヂミ、マテ貝のとろみスープなど、なんとも魅力的な食事が並んでいます。そのメニューとは別紙に、自慢の一品「手打ちそば」と「鴨せいろ」の文字が。いやいやいやおかしいってそれ。

蕎麦と福建料理という珍しい組み合わせ

 店は福建省出身の中年ご夫妻がやりくりしていて、福建料理の味は間違いなし。加えて、ご主人が仕事で27年間も蕎麦に携わっていた関係で、メニューに蕎麦があるのだとか。神田の老舗蕎麦屋と同じ蕎麦粉を使っているとのことで、そりゃうまいわけです。中華料理屋で「まずはつゆにつけずにそのまま食べてください」なんて言われる経験は初めてですよ。

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福建料理屋「仙桃園」のうますぎる蕎麦

 多芸なお店ですごいなあと思うところですが、中華料理屋に蕎麦の“のぼり旗”が立ってても、本当なのか疑ってしまう人もいそうなので、もったいないなあと思います。あと、福建料理をつまみながら蕎麦をすすると脳がバグるのがよろしくない。とはいえ、面白くも感動的な食体験ができるので、興味がある人は是非。

満腹な中でも全員が「うまいなあ」と評価するベトナム料理

 もう1つ紹介した恐ろしい量のニンニクマシマシベトナム麺は、知る人ぞ知るベトナム料理屋「TAK」のメニューです。お店の場所は、平井駅の北側の住宅地の中。店内は個人居酒屋のような渋い雰囲気で、ホーチミン出身のTAKさんことトラアンケットさん夫妻がやりくりしています。

 メニューはベトナム料理屋でよくあるあっさりとしたフォーではなく、ラーメン二郎のようなガツンとしたニンニクマシマシのトンデモボリュームのフーティウやフォーが特徴です。

「TAK」のクセのありすぎるニンニクマシマシのベトナムフーティウ

 TAKさんいわく「ホーチミンにもこうした料理はある」とのこと。ともかく量とニンニクのあまりのパンチに「あれはおかしい。満腹になるどころではない。でもたまに行きたくなる」と遠方から足を運ぶ人も。