「めちゃめちゃ美味しいです!」「平井どころか周辺地域で一番おいしい蕎麦かもしれないです……」と福建料理屋で食べる蕎麦に唸り、ベトナム料理屋では「いったん食べるの休みましょう。これは量の暴力ですよ……」「値段安すぎますって!」と恐ろしい量のニンニクマシマシベトナム麺にも唸る。舞台は総武線屈指の“地味な駅”「平井」です。

クセのありすぎるニンニクマシマシのベトナムフーティウ

 平井駅は柳原可奈子のコント「総武線の女子高生」でも「ここどこ? 平井?」とネタに出されるくらい、地味なのがアイデンティティではあります。都心側の近隣駅の亀戸、錦糸町、千葉側の近隣駅の新小岩、小岩のクセのありすぎるギラギラした下町に比べると、とにかく地味な駅です。

総武線屈指の“地味な駅”「平井」

同胞が集まれば異国飯屋が増える

 平井駅前の本屋「平井の本棚」の津守恵子氏いわく「平井はなにもなさ過ぎて、散歩の腕前を試される町ですね、と言われたんです。平井には散歩の達人やアド街ック天国が滅多に来ないんですよ」。なるほど確かに平井の商店街を見ても、「芸能人の誰々が来た!」というアピールは見なかったような気がします。

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 考えてみれば、在住外国人向けの異国飯屋(ガチ外国料理屋)で有名な東京の新大久保、池袋北口、小岩、それに埼玉の西川口なども、以前は地味で注目されなかったエリアです。つまり、路線のもつブランドイメージなど関係なく、地味で便利でコスパがよくて同胞が集まっていれば、そこに外国人が集まり異国飯屋が増えるもの。都心から遠くない平井にも異国飯屋はあるのです。

平井を昔から知る書店「平井の本棚」の津守恵子氏

南側の高層マンションの下を通り抜けると…

 平井駅を南に向かって少し歩いた先に商店街があります。商店街まで行く途中に、ガチ中華料理屋が3軒。商店街の中にはバングラデシュ料理屋が3軒とガチ中華料理屋が3軒あります。

 南側の高層マンションの下を通り抜けると、そこにもガチ中華料理屋が2軒。駅の北側にはガチ中華料理屋が数軒とベトナム料理屋、インド・ネパール系の老舗料理屋もありました。さらに、駅の北側と南側に中国人向け美容院があります。実際に行ってみると、中国さながらのパイナップルのような髪型のお兄さんが中国語で接客していました。ハードルが高いとは思いますが、実践中国語会話に自信がある人は行ってみるといいんじゃないでしょうか。