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被害者の父「びっくりして何も言えなかった」

 不倫からはおよそかけ離れたイメージだったと近隣住民らが声をそろえる。共に暮らしていた父の目に娘はどう映っていたのか。仕事から帰ってきた大塚さんの父親に心境を聞くことができた。

亡くなった大塚さん

「事件のあった日、私は朝6時に仕事に出ていったんです。まだ娘は寝ていたかな。とにかく、それが娘を見た最後でした。その日、どこかに出かけるという話は全く聞いていませんでした。埼玉の草加なんて場所にも心当たりはない。そもそも冨岡の名前なんて警察から聞くまで一度も聞いたことがなかったし、彼氏うんぬんの浮いた話を家ですることが全くなかった。だから事件翌日の夕方、警察官が来た時はびっくりして何も言えなかった」

 大塚さんはこの賃貸アパートで土木関係の会社を経営する父母のもとで生まれ育ち、地元の公立小中学校を卒業。その後、千葉県流山市にある県立高校に進学した。卒業後、大学や専門学校に進学することはなく、パートなどの仕事を転々としていたという。大塚さんには4歳上の姉がいたが、結婚して家を出ている。1年前までは父と母、大塚さんの3人で暮らしていた。父が言葉を続ける。

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父娘の2人暮らしだった大塚さんの自宅 Ⓒ文藝春秋

「去年、妻が病気で亡くなってからは娘と2人で住んでいた。料理とか掃除とか身の回りの世話は娘がこなしてくれてた。とにかく真面目な子だったよ。娘は7年前ぐらいから、輸入で仕入れた馬肉を商品用に小さく切り分ける作業員の仕事をしていて、夜勤で働いているんです。私は長く自分で会社をやってたけど、最近は仕事が少なくなったんで友人の会社で働かせてもらっていて、家を出るのは朝早く。一緒に住んでいるけど生活の時間帯は別々だったし、娘が何をやっているのかあまり知らない。いい歳した女だもの。いちいち干渉したりはしないよ。買い物とかそれなりの趣味はあったようだけど、子供の頃から外で遊び回るよりは、家で本を読んだりと静かに過ごしていることが多かったね」