「ネットでそういう仕事があるって知ってから、看護学科でそっちで働いてる同級生に聞きました。『西川口で働いてるよ』『池袋だよ』とか。じゃあ、そこで働こうと思って池袋にしました。デリヘルです。看護学科はキャピキャピしてる感じだったり、風俗やってるよっていう子がいっぱいいます。隠さずに話すような感じの子たちで、へえ~みたいな。たぶん、私は風俗はしないだろうなって聞いていたけど、まさか自分がやることになっちゃうとは……」
コロナ以前は週6日出勤し、月100万円近くを稼ぐ
大学2年になって貯金が尽きてから、教科書代の捻出に困った。追い打ちをかけて実習費、研究費が請求された。医学書、専門書なので教科書代は10万円近く。さらに実習は自費でのホテル暮らしをしなければならない。2週間ホテルに泊まると10万円以上がかかる。
「去年の夏に貯金が30万円を切ったんです。その時点でヤバい……と思って、破綻したことに気づきました。実習で地方に飛ばされるのは抽選で、私が地方になるかもしれない。そうしたら絶対に足りないんです。秋の学費納入も控えていて、そこで風俗を始めました。看護学科の友達に紹介されたスカウトから入った。そこから始まって実習で山梨に行ったときは、山梨のデリヘルで働いて、もう学校以外は出勤しているような生活になりました」
池袋の客層が悪いことは風俗嬢の間では有名だ。
富裕層や紳士は少なく、労働者階級による本番強要が日常茶飯事という。さらに中年男性は抜かれたあと、「こんな仕事をしちゃだめだ」「そんなにブランド物が欲しいのか」みたいな説教する者もたくさんいる。
お嬢様風で清楚な雰囲気の仁藤さんは、少なくとも気が強そうには見えない。上から目線の説教や、本番強要にも毎日のように遭遇する。
「本強は毎日です。みんなに“風俗をやってるようには全然見えない!”っていわれます。清楚で未経験みたいなので売っていこうみたいな。お金になるなら全然いいです。最初の頃は 10時間待機で1日3万~4万円は稼げました。昼から終電までって感じ。新人期間がすぎてだんだん減ったのと、最近はコロナでどんどんお客さんが減って。1日1万円の日もあれば、お茶(ゼロ)の日もあります。コロナ以前は週6日出て月100万円近くは稼いでいました」
「こんなコロナの時期に風俗に来る人は質が悪い」
去年の8~12月までは順調に稼げた。お金がかかる2年時の実習は乗り切り、3年秋の学費を支払えた。次の4年春の学費も支払える算段がついた。高校時代から付き合っている彼氏はいる。バイト先で知り合った。彼氏は4歳年上の社会人で風俗をやっていることは知っている。大学と仕事でスケジュールはビッシリであり、会う時間はあまりない。