平昌冬季オリンピックが閉幕した。
開催前には施設などの工事の遅れや現地の極寒などが取り沙汰されたが、大きな事故もなく成功裏に終わったと、韓国では安堵とオリンピックの余韻が広がっている。
シベリアよりも寒かった
実際、もっとも懸念されていた開会式はなんとか無事に終わった。現地で取材した全国紙の記者が苦笑する。
「現地で詰めている間には、あまりの寒さに携帯のバッテリーが突然切れたり、コンピューターが故障したりと大変なこともありました。ただ、開会式は風もあまりなく、いい天気で、大会関係者はみんなほっとしている感じでした。事前の記者会見で悪天候の対策についての質問が出た時に、『祈るしかない』という、もう笑うしかないような答えが返ってきましたから、まさに天が味方したというほかありません」
大会に参加した選手の中で、バイアスロンの韓国代表として出場したティモフェイ・ラプシン選手(ロシアから韓国に帰化)は自身の故郷、シベリアよりも寒いとこぼしていたという。日本人観光客もこんなことを言っていた。
「気温が低いのはまだ我慢できるんですけど、こんなに風が吹いたら、耐えられない」
そう、平昌で強敵は氷点下の気温に風が加わった時だ。風速1メートルで体感温度は1度下がるといわれ、平昌は強風を生かした干し鱈の名産地だけに当初から不安視されていた。
「大会では強風でアルペンスキーなど延期される種目も出たし、選手らの体調管理も大変だったかと思います。また、実際、スノーボードの豪州代表のテス・コーディ選手は練習中に強風で転んで前方十字靱帯を損傷して欠場せざるを得なかった。もう少し対策が練れなかったのか反省すべき点でしょう」(同前)
工事が遅れていた施設も開催前にはすべて完成し、リオ夏季オリンピックに行った人からは、「リオはオリンピックが始まった後でもパラリンピックの施設を工事していましたから、それに比べれば上出来です」という声も聞かれた。
問題点としては、施設でのノロウィルスの感染や、時間通りに運行されないシャトルバスなどの輸送面、そして温水やネット使用の制限をつけた施設問題、そしてボランティアの処遇などがあげられたが、おおむね成功という雰囲気が圧倒的だ。
韓国でもカーリングがブームに
冬季オリンピック史上最多の92カ国・地域が参加した大規模な大会において、韓国は成績面でも史上最多となる17個のメダルを獲得した。なかでも、これまであまり日の目を見なかったカーリング(女子・銀)やスケルトン(金)、ボブスレー(銀)でメダルをとり、競技種目の幅が広がったという声が上がっている。
「開催国のメンツを保つ意味合いもあり、スケルトンやボブスレーなどにスポンサーがついたことが躍進につながったといわれています。カーリング女子は、もともと世界的にはスキップのキム・ウンジョン選手の実力は知られていたそうですが、韓国の国内ではそこまで知られていなかった。今回のカーリング女子の活躍から、全国的にカーリングブームに火がつきそうです」(スポーツ紙記者)