年々市場を拡大している“出会い”を目的としたマッチングサービスのなかには、既婚者同士を対象としたものも存在する。長年連れ添ったパートナーを持つ人が、新たな出会いを求めてマッチングサービスに手を伸ばす――その理由はさまざまなのだという。
今回は、実際に既婚者向けのマッチングサービスに登録する女性に、利用に至るまでの経緯を聞いた。(取材・文=田中慧/清談社)
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「愛のないセックスで人生を終えたくない」
埼玉県で介護職に励む池田友梨さん(仮名・44歳)が既婚者マッチングサービスに登録したのは3年前のこと。15年前に結婚した夫との関係にはすでに限界を感じており、「とにかく違う居場所を求めていた」と話す。
「夫は典型的なモラハラ男で、いま小学生の娘が2人いますが育児にはノータッチ。結婚してから異性との食事会はおろか、ママ友同士の集まりですら『何時に帰ってくるんだ』『俺の稼ぎで遊んでくるのか』とブツブツ言ってくるタイプなんです。『昨日は米だったんだから、今日はパンに決まってるだろ』と食事にも毎日いちゃもんをつけてくるうえ、家族4人の食費と生活費を月たった5万円でやりくりしろと言われていました」
友梨さんに対する夫の甘えっぷりが目に浮かぶが、セックスにおいても耐え難い行為を強いてきたという。
「私が育児で疲れていても『俺だって仕事してきたんだ』って言い張って、週の半分は営みを求めてきて……。それでも私への愛情があればまだ許せるんですが、夫は私が喜ぶことはいっさいしてくれないので、ただ体を貸しているだけという感覚。ひどいときは前戯も面倒だったのか、台所からもってきたサラダ油を塗りたくられたこともありました」
夫から完全にモノ扱いされる日々に絶望した友梨さんは、何かと理由をつけて夫からの誘いを断り続けたそうだ。
「ただ、自分のなかで『こんな愛のないセックスで人生を終えたくない』という思いがずっとありました。もちろん最初は、子どもがいる身で夫以外の男性と関係を持つなんて許されないと思っていましたが、せめてサービスと割り切って利用できる女性用風俗ならまだ許されるんじゃないかと、思い切って利用してみたんです。
そしたら、プレイ中はただただ楽しかったし、自分のなかの何かが満たされる感覚が確かにありました。いっさい夫の顔もよぎらず、罪悪感を抱くこともなかった。たった1回の利用でしたが、この経験でタガが外れたというか……。この、自分を取り戻せる感覚はきっと悪いことではないし、私を求めてくれる人ともっと出会ってもいいんじゃないかって思えました」