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 しかし、ぐんぐん前に進む友梨さんに対し、夫はいい顔をせず、家庭でのモラハラは相変わらずだったという。

「それで2年前、ついに夫と別居することにしたんです。その前に何度か夫と話してみたんですが、夫はいまの家と職場を往復する生活に満足しきっていて、私とはやっぱり違った。夫の生き方が悪いわけでは決してなくて、私とは合わないってだけなんですけどね。だから素直に『子どものことを考えると、離婚はしたくない。けど、私たちの生き方が合わないから出ていきます』って宣言しました」

 この頃には、友梨さんは1人で娘2人を支えられるほどの収入を手にしており、独り立ちの決心がついたのだという。

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「『パパと考えが合わなくなっちゃった』と子どもたちに相談すると、理解して私についてきてくれました。ただ、夫のほうが大変で、別居を言い出したときからずっと泣きっぱなし。1万字超えの恨み節のLINEを送ってきたり、過呼吸になって自分で救急車を呼んだこともあったようです」

夫を捨てて気づいたこと

 夫との別居から、もう2年が経つという。これだけの時間が流れたいま、後悔はないのだろうか。

「いっさいないですし、今後また同居することもないと思います。ずっとあのまま夫のいうことを聞いてカゴのなかの鳥状態だったら……と考えるほうが怖い。子どもと触れ合いつつ仕事も充実しているし、たまに既婚者相手の関係で自分の心がかき乱されるのを感じると、生きているなって思います。

 既婚者マッチングサービスで出会う人の中には、もちろん身体的な理由から夫婦間でセックスができない人もいるし、私のように心が死んだ状態から抜け出したくて利用する人もいます。

 結婚生活がうまくいかなかったからって、心を殺さなきゃいけないなんてことはないはずなので、自分を保つために外での関係を広げる人もいるということは伝わってほしいと思います」

 不倫が推奨されるわけでは決してないうえ、既婚者マッチングサービスを使ったからといって必ずしも人生が好転するとはかぎらない。さらに当事者だけでなく、夫婦の婚姻関係を故意に侵害する可能性がある違法行為を助長しているとして、主催者や運営サイトなどに対して法的責任が認められるケースも今後出てくるかもしれない。

 だが少なくとも、傍からは見えにくい複雑な事情を抱えた夫婦がいることも事実だ。