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身に覚えのないことが自分のせいに…取引先担当者が繰り返す謎行為の裏にあった、受け継がれる「ちょろまかし」文化

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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あなたならこれを見て、その場でどのような反応をするでしょうか。

物事は目の前で見ると、いろいろなことがわかるものです。私がこれを見たときには、この担当者はそれをするのがはじめてではなく、おそらく常習犯であるのが感じ取れました。

それでも、これは社会人により行われる「ちょろまかし」の中では、かわいいものでしょう。なぜなら、確かに不正は行われているものの、特に誰かが利用されたわけではないからです。

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ところが同じ数千円か数万円程度のことでも、誰かを利用して「ちょろまかし」が行われると、それは途端に、簡単には許せない悪質なものとなります。

断っても渡されるおみやげの謎

取引先で行われる不正行為に自分が利用されていた――この実例を見てみましょう。

私も相談者の方と同じように、顧客企業の担当者から「おみやげ」を渡されることがありました。おみやげとして渡されるそれは、いわゆるギフト品として販売されている品ではなく、その企業の事務所近くの漁港で水揚げされた鮮魚が何匹も入った発砲スチロールの箱でした。

はじめてそれをもらったときには驚いて、特別な贈り物として渡されたのだろうと思っていました。しかし、しばらくするとまた同じものが用意されていて、次第にその頻度は増し、ついに毎月訪問のたびに渡されるようになったのです。

正直に言って、私はそれをもらうたびに、まるで嬉しくないどころか、迷惑に感じていました。私は当時一人暮らしで、鮮魚をもらっても扱いに困りましたし、何時間も電車を乗り継いでその会社を訪問していましたので、ただでさえ手持ちの荷物が多いのに、自宅に持ち帰るのは大変だったのです。

おみやげが担当者の懐に…

先方の年配の担当者に何度も遠慮したい旨を伝えましたが、「まあ、そうおっしゃらずにどうぞ、どうぞ」と言われるのです。

「いえ、本当にありがたいのですが、今日持ち帰りましても、明日からまた出張に出かけますし……」と説明しても聞いてもらえません。