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身に覚えのないことが自分のせいに…取引先担当者が繰り返す謎行為の裏にあった、受け継がれる「ちょろまかし」文化

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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こうした経験もありますから、相談者の方の気持ちはよくわかります。ただ私の場合は、Aさんが、あからさまに、そうした行為をする人でしたので、周囲の人たちが皆そのことを知っていたのが救いでした。

相談者の方が不愉快に感じられているのは、ごもっともでしょう。対策としては、決して個人的なこととは受け止めないようにすることです。彼らは機会があれば、他の人にも同じことをしているものです。

「ちょろまかし」文化は受け継がれてしまう

前出のAさんの行為は、私さえ我慢をして、見て見ないふりをすれば、問題なく収まるように思えるかもしれません。

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実際に、私からクレームなどしたことはなく、Aさんの会社内でも問題になったとは聞いていません。

しかし、Aさんの行為は、組織に確実に悪い影響を及ぼします。

Aさんのような人がいると、その行為を見ていた周囲の若い人たちが、同じようなことをしはじめるのです。

全員ではありませんが、「ちょろまかし」をすることに抵抗を持たない人が出てきます。

簡単に想像できることに聞こえるでしょうが、それを見たときには、なかなかのショックを受けたものです。

Aさんの部下だったBさんは、少し出世して、ある程度の経費を使える立場になると、私のような業者を会社の会議室ではなく、都心の一流ホテルのラウンジに呼び出すことが増えました。

そこで打合せと称して、大して重要でない話をして、ラウンジの利用を楽しんでいるのです。「ここは今日2回目。さっきまで別の人と打合せをしていた」という調子です。

出張経費にするために利用される

Aさんの別の部下であるCさんからは、朝から何度も電話メッセージが残っていて、折り返すと、どうしても今日時間をとってほしいと言います。

私が終日外出の予定で時間が取れないと言うと、「何とかして横浜市内で会ってくれ。新横浜の駅まで来てくれないか」と言ってききません。

無理をして予定を変更し、新幹線から降りてきたCさんに会うと、どうしても打合せをすべき大事な要件があるとのことだったのが、顔を突き合わせて座った喫茶室では、何とも要領を得ない世間話になります。