長谷川宙の悪癖を消した千賀からのアドバイス
大事なのは翌日の姿だ。さて25日、長谷川宙は練習中に、勇気を出して自ら千賀に声をかけた。「フォークを教えてください」。この心意気だ。イマドキの若手にはあまり見られない姿勢だ。千賀は他人の投球フォームを研究するほどの「フォームマニア」で野球談義をするのが大好き。心に火がついたように身振り手振りで言葉を交わし、ついにはキャッチャーミットをはめて長谷川宙の球を捕り始めた。
「体の使い方が僕と同じだから、自分のやっていることを教えただけ」と千賀は言う。
投げ方を教わった長谷川宙のフォームは明らかにスムーズになった。その後フォークも投げた。千賀流に言えば「体を開かずに投げればボールは落ちる」。その意識が奏功した。長谷川宙は右肩が開く悪癖があったが、それが消えたのだ。
また、そのまた次の日の26日。ブルペン投球の際、グラブを右胸の前に置くように意識し、フォームを微調整していた。長谷川宙は体の右半身に軸を置いた方がいいタイプ。しかし、今キャンプ中にクイックモーションの欠点を指摘され、投げ急ぐあまりに軸が左側へと移り過ぎていたのだ。
「元に戻しました」とサラリと言ったが、このような工夫、19歳の投手が簡単に気づくレベルではない。この敏感さにちょっと驚きを持った。
「小細工してダメになるよりも、自分の形で勝負したい。それでダメならば実力不足というだけなので」
2月の初めの頃は「去年の今頃は人に囲まれるなんてなかった」とオドオドしていたのが嘘みたいに逞しい答えが返ってきた。
あの6失点は、成長痛だ。
伸びしろだらけの左腕はこの1か月でとてつもない経験を積むことが出来た。
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