2019年7月18日、京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、36人が死亡した事件から今日で4年。現場となった同スタジオでは追悼式が開かれ、約150名の参加者が犠牲者を偲んだ。
“平成以降最悪”の放火殺人事件を起こした青葉真司被告(44)。2023年9月5日には初公判が開かれる予定だ。なぜ、凄惨な事件は起きてしまったのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2019年8月15日・22日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「亡くなった方や遺族のことを思うと、自分たちが今、ここにこうして生きているのも許されない気持ちになります……」
こう語るのは、7月18日、「京都アニメーション」第1スタジオに放火し、35人もの命を奪った青葉真司容疑者の実の伯父だ。
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「針のムシロの思いです」
青葉の父は、6人の子供がいる家庭を持ちながら、自身がバスの運転手をしていた幼稚園の先生と不倫。3人の子供を儲けた。
青葉の母の兄にあたる伯父が、こう声を絞り出す。
「妹が駆け落ちし、親父とお袋の弟が『居所がわかった』と連れ戻しに行ったのですが、妹は『帰らない』と言った。私は許せなかったので、一切の連絡を絶っていました。ところがその後、私の妻に『電信扱いでお金を振り込んでほしい』と無心してきたのを知りました。子供がいるのも聞いていましたが、今回の事件を知って、脚が震えて立っていられなくなった。関係ないでは済まされない。針のムシロの思いです」
何の罪もない伯父にまで深い苦しみを与えている青葉。その両親は離婚し、1999年には子供たちを引き取っていた父が自殺した。既に再婚していた母は、周囲に「前の旦那は病気で死んだ」と話していたという。
その後、青葉はきょうだいとも断絶。12年にコンビニ強盗で収監された。
刑務所で「小説を書くのでペンと紙をください」
元刑務所仲間が振り返る。
「青葉っちはネクラで喋るのがちょっと遅い。強盗は『女に騙されて金を盗りに行った』と言ってた。夕方の食事が終わると、刑務官に『小説を書くのでペンと紙をください』と頼むんだ。何を書いているのかは教えてくれなかったけど」
今回の事件後、京アニからは過去に投稿された青葉と同姓同名で住所も一致する応募作品が見つかった。
「さいたま市内にある自宅アパートの家宅捜索では、PCや複数のスマホのほか、京アニ関連グッズも多数押収。同社が制作した『響け!ユーフォニアム』のサイン色紙や同社関連書籍などが見つかった。大量の白紙の原稿用紙も発見されています」(社会部記者)