2019年7月18日、京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、36人が死亡した事件から今日で4年。現場となった同スタジオでは追悼式が開かれ、約150名の参加者が犠牲者を偲んだ。

“平成以降最悪”の放火殺人事件を起こした青葉真司被告(44)。2023年9月5日には初公判が開かれる予定だ。なぜ、凄惨な事件は起きてしまったのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春  2018年8月1日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、36人が死亡した事件。当日、2階にいたが、飛び降りて九死に一生を得た社員が、安否不明の仲間への思い、犯人への憤りを「週刊文春」に語った。

3階建てのスタジオはほぼ全焼 ©宮嶋茂樹
熱でゆがんだらせん階段 ©吉田暁史

「作っているものが若者向けのエンターテインメントだから、若い人が多いんです。結婚したばかりで、子供が生まれたばかりの人もいました。仕事でももちろん付き合いはありましたし、休みの日があれば映画を観に行ったり、何人かでチーム組んで慰安旅行にも行ったりしました。みんな仲の良い連中ですよ。

 仕事に対しては確かに厳しいですけど、人間の部分に関しては、社訓にもあるんですが『人としてちゃんとあろう』と。仕事の厳しさをしっかり押さえつつも、人と人のやりとりなんで、そのあたりのことも大切にしていきましょう、という考えでやっていました。僕自身、幸か不幸か助かりましたが、よかったとは言えません。僕よりうんと若い子が亡くなっているのが多いのが、いたたまれないですよね……」

ファンが連日、祈りを捧げる ©吉田暁史

 犯人に対してはこう憤る。

「やっぱり、何を考えているのかわからないので、おそらく僕が理性的になってなんやかんや言ったって、当人の耳には届かないかもしれませんけど、社会のすごい歪みみたいなものを感じますね。ちょうど『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』という作品を9月に公開するんです。その作品がようやくキリがついたかな、という時期で、(20年1月公開の)本編の前に短編の映画を作っていた。その劇場版に関しては、もうまさにこれからエンジンかけてやってかなあかんなというところだった。京都アニメーションとしても非常に珍しい取り組みでね、世界と日本と、日本語版と英語版の吹き替えを同時に公開して、世界の皆さんに楽しんでもらうっていう一発目の企画だったんですよ。それをよくも壊しやがったなって。

中学卒業時の青葉(卒業アルバムより)

 みんなコツコツと仕事をしていて、アニメって地味な作業なんですよ。そういう人間に対して、どえらいことをやったな、っていうのがあります。彼(犯人)が快方に向かうことを、正直祈っております。で、然るべき法の下で、ちゃんと裁かれることを期待しています。やったらやりかえすっていうのはキリがないですから。法治国家ですんで、その下で罰を受けてほしいです」

©宮嶋茂樹

週刊文春 電子版」では、社員の証言とあわせて、青葉真司容疑者がどのような人生を歩み犯行に至ったのかを、詳報する。

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