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 私はとてもショックでした。私だけでは勿論ありませんが、仏像というものは、お寺やお坊さんにとっては家族同然です。言うなれば、誘拐事件に相当します。私よりも昔からお寺にお暮らしであった仏様が、ある日突然知らない人によって、知らない土地に運ばれた訳です。

 私は心配で心配で、夜も良く眠れなくなりました。

「今どこでどうされていらっしゃるだろう。寒かったり暑かったりしないだろうか。粗雑に扱われておられないだろうか」

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 この日から私は、天の三光に手を合わせるようになりました。天の三光とは、三つの光の神様のことです。

 三つの光とは、日天子様という太陽の神様、月天子様という今回誘拐された、お月様の神様、そして明星天子様という星の神様のお三人の事です。

 私は太陽が上がっておられる時には、陽の光に手を合わせ、夜になると、星に向かって手を合わせ、月に向かっては月天子様に無事にお帰り下さいとお願いしました。

ネットオークションを見張り続けた

 知り合いの方からは、ネットオークションに掛けられるかもしれないからと教えて頂き、携帯電話で毎日のようにチェックしていました。しかし、残念ながら、何ヶ月が過ぎても何も手掛かりは見つかりませんでした。

 そして、あと2ヶ月で1年が過ぎようとしていたある日、私は夜に外に出て、月と星の光に向かって手を合わせました。

「お姿が見えなくなって、10ヶ月が過ぎました。その間に、私は深く反省しました。それは、いつお堂に行っても仏様とお会い出来ると、当たり前に思っていた事です。その有り難さを忘れていました。申し訳ありません」と、反省の心で手を合わせました。

三木住職が見た不思議な夢

 その日の深夜の事です。寝ていますと、突然暖かな光が私の顔先に近づいて来るのを感じました。とても心地よい暖かさに、私は目を開けました。するとそこには、月天子様が立っておられるのです。