東京都墨田区には、江戸時代から伝わる「本所七不思議」という怪談がある。
本所とは現在の墨田区南部にあたる地域のことで、いわゆる江戸の下町だ。当時、町民たちが噂話として囁き合った怪異の目撃談、それをまとめたものが本所七不思議である。今で言うと「都市伝説」のようなものかもしれない。
怪異の数え方には諸説あるため、「七不思議」といえど7つとは限らないそうだ。「それは見間違いだったのでは……?」と思ってしまうような話から、事件性の高い凄惨な話まで内容は様々。特に有名なのは、釣り人に「置いてけ……」と声をかけるという「置いてけ堀」だろう。
そんな本所七不思議が、現在改めて注目されている。各所で話題のゲーム『パラノマサイト』(スクウェア・エニックス)でモチーフとして使用されたためである。
『パラノマサイト』の登場人物たちは、それぞれ本所七不思議にまつわる「呪い」の能力を手にして、命の奪い合いバトルの中に身を置くことになる。舞台はもちろん東京都墨田区だ。
墨田区観光課、郷土文化資料館、観光協会、商工会などの全面協力のもと再現された墨田区の街並みはゲームの世界観を一層魅力のあるものにしている。SNS等でファンが作品内に登場する「ロケ地」を巡った投稿が盛り上がっているのも納得である。
【#パラノマロケ地紹介】
— パラノマサイト FILE23 本所七不思議【公式】 (@PARANORMA_PR) March 24, 2023
①「錦糸堀公園」
物語の冒頭で、興家彰吾と福永葉子が七不思議を探していた公園です。『置いてけ堀』の高札と河童の像があります。https://t.co/J0jwTBs5os
※訪問される際は、周辺の迷惑にならないよう充分な配慮をお願いします。 pic.twitter.com/ERsueYGbxM
この記事でも『パラノマサイト』のロケ地を実際に訪れて、ゲーム内の背景画面と実際の墨田区の風景を見比べながら、本所七不思議の内容に迫ってみよう。ちなみに、七不思議の数には諸説あると述べたが、ここで紹介するのはゲームと同じく9つとする。
置いてけ堀(錦糸堀公園)
まずは「置いてけ堀」から紹介する。
「釣りを楽しんだ男が夕暮れ家路につこうとすると、どこからともなく『置いてけ……』と不思議な声が聞こえる。ぞっとして魚籠を引き寄せると、たっぷり釣ったはずの魚は一匹残らず消えていた」(『本所七不思議探索地図』より)