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「……それだけ?」と思ってしまうが、実際にありそうなリアルな話でもある。ちなみにこの椎の木は実在して、明治維新後も残っていたが、残念なことに関東大震災の際に焼失してしまったという。

 旧安田庭園に茂る木々の中に葉を落とさない木がないか、散策してみたくなる話である。

片葉の芦(両国橋付近)

 七不思議最後の1つ、「片葉の芦」は他の七不思議と少し毛色が違う。

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「横網町の長屋に住む留蔵というならず者が町の娘お駒に惚れてあれこれ言い寄ったが、見向きもされず逆上してお駒を殺害。片手片足を切り落とし死体を堀に投げ捨てた。以来そこに生える芦は葉が片一方しかない片葉になってしまい、堀は片葉堀と呼ばれるようになった」(『本所七不思議探索地図』より)

 事件の凄惨な内容はもとより、あらましや人物名がやけに具体的で、いかにも実際に起こった事件に思えるところにゾッとする。お岩さん然り、お菊さん然り、男性に殺された恨みを持つ女性の物語は日本の怪談の鉄板だが、片葉の芦にはお駒の怨念がこもっているのだろうか。

 この怪異は現在の両国橋付近で起きたとされている。伝わる話を知った後だと、ゲーム内でも現実でも、印象的なモニュメントがなんだか雰囲気を背負って見える気がするから不思議である。

ゲーム内に登場する両国橋 ©2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 

実際の両国橋 ©文藝春秋
ゲーム内に登場する両国橋 ©2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
実際の両国橋 ©文藝春秋

 これが、東京都墨田区に伝わる「本所七不思議」の内容である。ゲームの背景画面を参考に、各地を巡るのにかかった時間は約2時間半。今回はのんびり徒歩で見て回ったので、バスや電車をうまく使えば、もっと短時間で回れそうだった。

 ぜひ一度、休日に七不思議の怪異を巡ってみてはいかがだろうか。

 ちなみに七不思議の内容については、ゲーム『パラノマサイト』の発売を機に、一般社団法人墨田区観光協会が『ムー』編集部監修のもとに制作した『本所七不思議探索地図 令和版』を参考にしている。

取材協力:スクウェア・エニックス、墨田区観光協会

INFORMATION

『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』

●プラットフォーム:Nintendo Switch™/Steam®/iOS/Android ※いずれもダウンロード販売のみ
●ジャンル:ホラーミステリーアドベンチャー ●プレイ人数:1人
●価格:1,980円(税込)※iOS/Android版は1,900円(税込) ●CERO:D(17才以上対象)
●公式サイトURL:https://www.jp.square-enix.com/paranormasight/