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 今までも夢の中に月天子様が姿を見せてくださる事はありましたが、いつも霧がかかったようなお姿で、ハッキリと見えたのは、この時が初めてでした。私は思わず手を合わせ、「とても心配しております。今、お元気になさっておられますか、酷い目に遭っておられませんか」と安否ばかりを尋ねていました。

 すると、月天子様は、優しく微笑まれて「心配をかけましたね。少しお風呂で、汚れを流してから帰ります」、そう仰いました。

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 それを聴き終わった直後に目が覚めたのです。私は歓喜の涙を流していました。それは、月天子様がお帰りになられる喜びと、そのお声にありました。月天子様のお声は、不安だった心に安心と潤いを与えてくださる何とも形容し難い美しいお声でした。

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 私は嬉しくなって、兄が住職を務める、本山の塔頭に行き、この日の夢の話をしました。

「間も無く月天子様がお帰りになられる夢を見た」と報告しました。兄はそうなると嬉しいと言ってくれました。

 しかしながら、それからひと月程が経っても、何の進展もありませんでした。

「あれは単なる夢だったのか。しかし、お風呂で汚れを流してから帰りますと言われていたので、温泉でゆっくりされているのかも知れない」

 そう思い、今暫く待つことにしました。

盗まれた仏像の行方が判明

 そんなある日、兄のお寺で会議がありました。この会議は、誘拐された月天子様とは全く関係のないものです。しかしその会議中に、ある方から、SNSで「ネットオークションで、三木さんが探している仏像らしき物が上がっていますよ」とご連絡を頂きました。

 それとほぼ同時に、本山の方が兄の寺に来られて、「オークションに月天子様が出ておられる」と教えてくださいました。直ぐに警察に連絡した後、私はネットオークションのやり方が分からないので、詳しい方にお願いして、落札をお願いしました。

 翌日、出品者の方に警察の方が連絡してくださいました。すると、出品者の方は、盗品だとは全くご存知なかったそうです。本山の方では、夢に見たという事もあり、私が警察やマスコミの方々への対応を任されました。