イケメンとはほど遠い容姿、身長は166センチ、バツイチ、58歳、それでも婚活で出会った女性は300人以上。そんなライターの石神賢介氏が一夜を過ごした、かなりユニークな女性の1人を紹介。

 愛の営みを終えたあと、彼女はなぜ念仏を唱えたのか? 新刊『婚活中毒』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

愛の営みのあと、彼女が一生懸命「念仏」を唱えた理由とは? 写真はイメージ ©getty

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目の前には「お経を唱える全裸の女」

「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経……」

 全裸の女がベッドに腰掛けてお経を唱えている。まぶたを閉じ、手を合わせて唱える「南無妙法蓮華経」はときどき途切れ、よく聞き取れない早口のお経が挟まる。

 どう対応していいかわからず、ただ背中を眺めていた。

 こちらも全裸。さっきまでは二人で行為に没頭していた。上になり、下になり。甘い吐息をもらしていた彼女の口は、今お経を唱えている。突然始まった儀式に、最初は自分がお祓いされているのかと思った。

 南無妙法蓮華経の彼女は40代後半。婚活アプリを通して出会った。職業はセクシーなランジェリーの販売。インターネットを利用して個人でビジネス展開していた。顧客はホステスや風俗嬢らしい。

写真はイメージ ©getty

 アプリのプロフィールにアップされた顔写真は美しく、50歳に近いとは思えない艶を感じた。30代といわれても信用しただろう。

 彼女には離婚歴があり、すでに成人した息子がいる。別々に暮らしていると書かれていた。

「なんでも話し合える男性と出会いたいです」

 自己紹介欄の一行が目を引いた。自分がプロフィールに書いた文と同じだったからだ。

 婚活アプリとは結婚を望むシングルの男女が出会うための、インターネットのアプリケーション。プロフィールや希望条件を入力、スマートフォンやパソコンの検索機能を使い、効率よくパートナーを探すことができる。魅力を感じた相手に申し込み、相手が応じれば“マッチング成立”となる。一対一でメッセージを交換できて、その後は自由恋愛だ。

 南無妙法蓮華経美人とはめでたくマッチングし、都内で食事をした。最初の食事の後クルマで自宅近くに送りハグしてキスをした。あまりにも好きなタイプだったので、情熱がマックスに達した。