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夏のZOZOマリンへ…森本稀哲のお父さんと久しぶりにファイターズを見に行く

文春野球コラム ペナントレース2023

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 夏のZOZOマリンだ。「災害級」の猛暑も夕方には多少おさまって、潮風が涼を運んでくる。この球場で焼きそばを食べていると僕はいつも海の家に来たみたいな気分になる。恒例の花火も楽しみだ。マリーンズはいつもとユニフォームが違う。ブラックサマーウィーク。ロッテ15回戦、予告先発上原健太と美馬学のゲームに今日は珍しい人と来ていた。

 ひちょりのお父さん。ご存知の通り、かつて「焼肉絵理花 日暮里駅前歩いて5分の一等地 ♪心の叫びをバットにぶつけろ~(絵理花!)」と応援歌にも謳い込まれた焼肉店のオーナーだった。1998年ドラフト4位で帝京高校主将、森本稀哲がファイターズに入団するや、とにかく僕はせっせと通いつめて家族同然になり、そのうちぶらっと訪ねると「おなか減ってない?」と訊かれて、まかないが出てくる(商売っ気なさすぎ)ようになった。

 ひちょりがテレビの「プロ野球オールスター歌合戦」で賞品としてもらった「伊香保温泉1泊(4名様)」にご両親とうち夫婦で出かけたのも懐かしい思い出だ。そのときは帰路、乗ってたクルマが白煙を上げて、そーっと路肩に停めて高速のSOS非常電話でJAFを呼んだのだが、非常電話の番号が「関越86」で、「お父さんこの電話、ハムですよ」「うわぁー、ハムなんですねー」と爆笑だった。

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鎌ケ谷にバット引きをするひちょりを見に行っていた

 マジ嬉しいなぁ。何年ぶりだろう。ひちょりのお父さん(なぜか僕らは名前で呼ばず、「お父さん」と呼ぶ)とプロ野球を見に来た。やっぱりお店を畳まれてからは何となく足が遠のいて、めっきりお会いする機会が減った。ぶらっとお邪魔してもあの頃と同じように歓待してくれるけど、やっぱり「お店に顔を出す」のと「ご自宅に伺う」のとではこちらの気軽さがぜんぜん違う。

 最初にお会いしたとき、僕は30代、お父さんは40代だったはずだ。いやもう、東京ドーム、西武ドーム、千葉マリン、2人で行ったなぁ。名護キャンプも行った。草薙の(パ・リーグオールスター)東西対抗にも行った。それじゃ飽き足らず国立競技場のトヨタカップ、済州島の日韓ワールドカップにも行った。お神酒徳利。もう2人組の観戦仲間だ。

 だけど、いっとう最初は鎌ケ谷だった。1年目、ひちょりがまだ肩を痛めてて、プレーしてない頃だ。ファイターズは肩を痛めてることを承知で、素材型の大型内野手(!)を獲得、1年はリハビリと身体作りに当てたのだった。だから、僕らはプレーしないのを知ってて、イースタン・リーグのバット引きをするひちょりを見に行ったのだ。「おお、ひちょりマジメにやってますね」「いやいや、将来有望なバット引きですよー」と楽しくて仕方なかった。

森本稀哲 ©時事通信社

 で、今季、ついにひちょりがコーチとして現場復帰したのだ。これはもう、お神酒徳利復活でしょう。状況は初めて鎌ケ谷に行ったときと似ている。ひちょりはプレーしない。あのときは「バット引き」、今は「三塁コーチャー」だ。まぁ、ホントは外野の守備位置を指示したり、色々してるのだが、そんなベンチ内の動きはスタンドからはわからない。今季、ファンの目につきやすいのは「三塁コーチャー」のひちょりだ。

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