マイナンバーカードの相次ぐトラブルに、岸田首相は6月21日、総理官邸で総点検本部を立ち上げ、徹底的にミスをなくすと表明しました。

 マイナ保険証に別人の情報が登録されていた件が令和3年10月から令和4年11月末までに7312件。地方職員共済組合で、別人の年金情報が紐づいていた件が1件、障害者手帳で別人の情報が紐づいていた件が、静岡県が公表しただけでも62件とあまりに多いので、全てのデータについて、秋までに総点検を行い、国民の信頼を回復するとしています。

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世田谷区長は「無理」と断言

 ただ、すでに申請されているマイナンバーカードは、7月2日時点でデジタル庁の公表では9737万3895枚(1月4日時点で総務省の公表では約8300万枚)。マイナポータルで閲覧できる医療や年金、所得などに関する計29項目の総点検をするのですが、仮に1万人の公務員が点検にあたるとしても、1人約1万枚のカードを、それも29項目も点検することになる。

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 これに対して、マイナンバーカードの発行枚数50万枚の世田谷区の保坂展人区長は、はっきり「無理だ」と言い切っています。

「コロナで人が足りない中でマイナンバーカードの申請が殺到し、それに対応するだけでも大変な思いをしたのに、さらにここにきて50万人分のカードを29項目も点検しろという。政府は、お金も人も出してくれないわけですから、他の業務でパンパンになっているところに、さらに仕事を増やすなんて不可能です」