トラブル続きの「マイナンバー」ですが、またひとつ、とんでもないトラブルが発生しました。
自分がもらうはずだった約6万円のお金が、別人の口座に振り込まれていたという事件です。
デジタル庁によると、所沢市に住む80代の女性のマイナンバーの公金受取口座に、誤って他人の口座が紐づけられていて、本来ならば本人に入金されるはずの「高額介護合算療養費」5万7516円が、他県に住む同姓同名で生年月日も同じ女性の公金受取口座に振り込まれていました。
家族が「支給決定通知書に記載されていた口座番号に見覚えがない」と問い合わせたところ、別人の口座であることが発覚。本人は80代と高齢であるので、もし家族が発見していなかったら、もらえるはずの公金が他人の口座に振り込まれ続けていても気づかないという状況でした。
公金口座については、別人の銀行口座との紐づけミスが940件あり、7月19日、個人情報保護委員会がデジタル庁に“立入検査”に入ると正式に公表しました。他人ではなく家族などの名義で口座登録されているものも約13万件あったといいます。
口座の誤登録は、マイナポイントでも数多く起きています。
総務省が行った調査では、本人が受け取るべきポイントが、別人に付与されていたというケースが、判明したものだけでも131自治体で172件。
相次ぐこうした事態を重く見た岸田首相は、データの総点検をし、これを秋までに終えると表明しました。
自治体が悲鳴を上げる、不可能な「総点検」
ただ、現場の自治体の何人かのトップに話を聞くと、「ここだけの話ですが」と前置きし、全員が「総点検なんて無理」と言い切りました。なぜなら、人もお金も時間もない自治体に、「点検」だけを丸投げしている状況だからです。
国が配置した人員は、自治体との連絡役のたった60人ほど。8000万枚以上あるカード申請者の1人29項目にも及ぶ個人情報は、すべて丸投げで自治体にチェックさせるという。