90万人の区民を抱える東京都世田谷区の保坂展人区長も「自治体の資源を短期的に集中させ、人海作戦で検証してくれというのは筋が違う。どう考えても不合理」と怒り心頭。小池百合子都知事は「現場の多くは区市町村で非常に膨大な量になる。『秋まで』は、なかなか厳しいのではないか」と見解を表明しました。
ただ、ある自治体のトップに聞くと、「国の指示なので、世田谷区のように財政的に力があれば表立って逆らうこともできるでしょうが、ほとんどのところは黙って従うしかない。とりあえず何件かサンプル的に調べ、何もなかったら『点検したが異常はみられなかった』という、曖昧な報告書を出すしかありません」。
「ノー」と言わないと、公金受取口座が紐づけられていく
公金受取口座登録制度は、2022年1月から、「任意」で申し出た人の口座をマイナンバーに紐づけるというかたちでスタートしました。
ただあくまで「任意」なので、自分の預金口座を国に知られたくない、誤登録されるのが怖いといった理由で、マイナンバーカードを持っていても約4割の人は、公金口座への紐づけを行なっていません。
そこで、政府が考えたのは、「ノー」という意思表示をしない人以外は、すべて自動的に紐づけてしまおうということ。
そのために法改正して、公金受取口座の名義人が不同意の回答をしない限り、国がマイナンバーと紐づけて登録する制度を創設しました。
この制度では、日本年金機構が受給者に登録するかどうかの確認書類を各自に郵便などで送り、一定期間内に「不同意」の回答をして送り返さなければ、同意したとみなして自動的にどんどん紐づけていくというもの。もし、日本年金機構から来た手紙を、後で読もうなどと放っておいたら、自分でも知らないうちに自分の銀行口座が紐づけられてしまうということです。