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なぜ「未婚」がストレスに…未婚・既婚の両者を苦しめる「結婚=幸せ」という深刻な病 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実

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なぜ、あなたは結婚したいと思うのか。イスラエルの社会学者であるエルヤキム・キスレフさんは「私が独身の人に行ったインタビューでは、みな口々に『結婚できたらうれしい』と言う。しかし、そうした人が下す決定から判断すると、結婚を望んでいないとしか思えない。プレッシャーを感じて、今も多くの独身の人たちが結婚に追い込まれているのだ」という――。

※本稿は、エルヤキム・キスレフ(著)、舩山むつみ(訳)『「選択的シングル」の時代 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実と「新しい生き方」』(文響社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Vasil Dimitrov ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Vasil Dimitrov

この社会に最後まで残る「差別」

近年、私たちは多様な性的アイデンティティーに対してもオープンな態度をとるようになった。異なる民族をたたえ、さまざまな政治的意見を許容することもできる。

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それなのに、私たちは今も、シングルの人たちが――特に年齢が上がれば上がるほど――結婚すべきだとせかされ、結婚しなければ偏見にさらされる社会に生きている。

たとえば、ある研究では、大学生1000人を対象に、結婚している人たちに対してもつイメージ、シングルの人たちに関してもつイメージについて、アンケートをとった。

結婚している人たちに対してもつイメージとしては、「成熟している」「幸せ」「親切」「正直」「愛情のある」といったものが挙げられた。

対照的に、シングルの人たちは、「未熟」「不安定な」「自己中心的」「不幸」「孤独」とみなされており、なかには、「醜い」という回答さえあった(※1)

「ステレオタイプ」が私たち全員を不幸にする

こうしたステレオタイプは、シングルの人たち、そしてカップルの人たち全員を傷つけている。シングルの人たちが、結婚したことのない人であれ、離婚した人であれ、配偶者に先立たれた人であれ、ステレオタイプにひどく苦しめられていることは明らかだ。

だが、だからといって、結婚している人たちがうまくいっていることにはならない。世にはびこるステレオタイプのせいで、プレッシャーを感じ、自分が結婚という人生の重大事項に対して準備ができているかどうかさえもわからないまま、あるいはその人が正しい相手なのかどうか自信がない状態で、結婚してしまう人たちがいるからだ。

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