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なぜ「未婚」がストレスに…未婚・既婚の両者を苦しめる「結婚=幸せ」という深刻な病 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル, 国際

note

このような調査の過程で、これまでのシングルに対する決まりきった見方を支持する証言、あるいはそれを否定する証言も得られるだろう。

若いシングルのニーズに応える道を模索せよ

本書には、もっと野心的な目的もある。

それは、読者の皆さん一人ひとりに新しい現実について考えてもらうことだ。今では世界中の人々が社会生活、家庭生活を新しいやり方で営むようになっている。それこそが新しい現実だ。

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本書では、幸福なシングル生活の時代を迎えるために、増加するシングル人口に特有のニーズを分析し、数多くの先駆的な提案を紹介していく。

たとえば、革新的な生活環境、コミュニティー、社会交流などだ。したがって、読者の方々には自分が最も関心のある章から先に読んでもらってかまわない。

今はまだ、声の聞こえない少数派(マイノリティー)であるシングルの人たちも、じきに発言力のある多数派(マジョリティー)になる。

世界各国の首都圏で、シングル向け住宅の家賃の高騰、同居パートナーの法的地位の不明瞭さ、シングルペアレントの困窮、離婚した人たちの税制上の権利などの問題について、デモがおこなわれている。

たとえば、東京では、「Call For Housing Democracy/住宅政策にデモクラシーを」という団体により、政府に対して家賃の引き下げを要求するデモがおこなわれた。デモを開催した人々は、「ジャパン・タイムズ」紙にこう語っている。

東京で公営の住宅に入居できる確率は、家族の場合は20分の1だが、単身者は57分の1で、しかも、政府が意味するところの「単身者」とは引退した人たちのことだ。若くて未婚の人たちは、いくら収入が少なくても、公営住宅に入居できるチャンスはゼロだ(※13)

このような抗議活動がおこなわれることからも、シングルの人たちの幸福とウェルビーイングに寄与する要因を検討することが、ますます重要かつ緊急なものになっていることがわかる。政策立案者たちは、このようなニーズに向き合い、彼らのような若いシングルのニーズに応える道を探さなくてはならない。