待ち合わせ場所にカラフルな特攻服を着た少女たちが…
取材当日、自分が見た光景はまるでドラマのワンシーンのようだった。待ち合わせの豊橋駅西口に着き、車中で待機していたら、何やら周囲が騒がしい。窓から外を覗くと、いつの間にか無数のシャコタンの族車が止まっている。中から赤、白、黒、ピンクとカラフルな特攻服を身にまとった少女たちが続々と降りてきた。バックミラーで髪型を直したり、チームカラーのはちまきを締め直している。
自分たちが『ティーンズロード』のスタッフと認識したのだろう、1人の女性がこっちに向かってきた。瞬間、その女性がのぶこだと思った。
「私がのぶこ、先週何人かパクられてしまってな、今日はこんなもんしか集まらなかったもんで」
それでもざっと見渡して、30~40人はいる。今まで見たことのない数だった。
のぶこは想像と違い小柄で、どちらかというと華奢な体つきだった。この少女のどこにこれだけの人数のレディースたちを束ねる力があるのか、最初は半信半疑だったが、「スケ連」の少女たちはのぶこを前にして全員直立不動で、彼女の指示を待っている。
「撮影はこの近くの埠頭でやるもんで、私たちの車についてきてくれるかな」
「のぶこさん、これだけの数がいるとすぐに警察来てしまいますので、現場に着いたらすぐに集合写真を撮らせてください」
「警察は大丈夫、話つけてるもんで」
警察に撮影の話を通しているなんてこれまで聞いたことがないが、ここまでの現実を見ると、のぶこの言葉があながちハッタリではないことも予測はできた。
特攻服を着た大集団が挨拶を始めた
「スケ連」の車に先導され現場の埠頭まで向かう。途中で大型の警察車両が数台赤灯を回して待機していた。にわかに緊張が走ったが、「スケ連」の車は何事もなく走りぬけていく。警察に話をつけていたのはやはり本当だったのだ。のぶこの力量が示された瞬間だった。
埠頭には既に他の「スケ連」のメンバーも来ていた。100人はいなくてもそれに近い大人数だ。その数にしばし圧倒され、どうやって撮影していいか試行錯誤していると、
「編集長、うちらの挨拶を先に見てもらいたいもんで」
挨拶? 一体何が始まるんだろう。