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「空っぽな人間が表現なんてできるわけがない」

 彼女自身はグループを離れて一人になったあと、《AKB48という冠がなくなってしまったので、とりあえず自分の名前を覚えてもらわなきゃって必死で》仕事をこなしていたが、それも2~3年ほどで落ち着くようになる(『サイゾー』前掲号)。

 そのころまでに俳優としてドラマや映画にあいついで出演し、テレビ東京系の経済ニュース番組『マネーの羅針盤』ではMCを務め、知的な一面を見せた。AKB在籍中の21歳の頃、「空っぽな人間が表現なんてできるわけがない」と気づいてからというもの、ちょっとでも時間があれば、本や新聞を読んだり、DVDを観たりして勉強してきたという。

 俳優としての本格的なスタートは、AKB48を卒業した翌年、2014年に出演した三谷幸喜作・演出の舞台『国民の映画』である。出演オファーを受けたのは卒業を考えていた頃で、これが決意を固めるひとつのきっかけになった。

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 2020年にはハリウッド映画の人気シリーズ『山猫は眠らない』の8作目「暗殺者の終幕」で、日本から送られてきたスナイパー「ユキ・ミフネ」を演じ、昨年公開の9作目「ローグ・ミッション」にも引き続き出演した。

『山猫は眠らない8』(2020年)

30代にして叶えた夢

 父方の祖母は秋元を厳しくしつける一方で、アクション映画が大好きで、「才加もいつか銃を持つアクション映画に出て、自立したカッコいい女性の役をやってほしい」と言っていたという(『婦人公論』前掲号)。それを彼女は30代にして実現させたのだった。

『山猫は眠らない8』の撮影中には「人がどうじゃなくて、あなたはどうなの?」と訊かれ、ハリウッドは自分がどう思っているのかをちゃんと人に伝えていくという文化だと改めて気づき、ショックを受けたという(「女性自身」2020年8月19日配信)。

 仕事で自己主張するだけでなく、SNSでも政治や社会問題に対して積極的に言及し続けている。これについて彼女は《もちろん人それぞれ、いろいろな思いがあるので正解はないけれど、いろいろな考えがあるということを受け止めながら、自分の意思は持っていたいと思います》と語る(『潮』2021年1月号)。